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地球社会研究専攻

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 1997年に設立された地球社会研究専攻(Institute for the Study of Global Issues)は、専任の教員をそろえたグローバルスタディーズの独立専攻としては、世界の大学においても初めての組織です。
 現代の世界が直面する課題は、いずれも地球規模の視点と発想を要求しています。絶え間なく発生する紛争と新しい形態の〈戦争〉、発展途上国の貧困と開発、さらには豊かな国にも共通する国内貧困、地球環境の破壊と保全、地球規模で拡大する情報ネットワーク、生命の安全をもとめて故郷を離れる人々、そして豊かな生活を夢見て国境を越える人々……、差別と差異、せめぎあう価値、力の論理と共生の理想。
 地球社会研究専攻は、これらを地球規模の問題群としてとらえ、問題の渦中に生きる人々の声に耳を傾け、解決の方途を探求しています。そのためには、従来の社会科学の分野の境を越え、さらには文理融合を求める発想とアプローチが必要とされているのです。
 本専攻は学生一人一人が探求する課題について教員が助言をしながら、学生とともに作り上げていく専攻です。学生は本専攻で準備しているカリキュラムを中心に、必要に応じて総合社会科学専攻および他の研究科の授業やゼミを受けることや、学外での活動を研究に

私たちには何が求められているのか

 これまでの社会科学や人文科学には、欧米諸国が問題領域や研究枠組みを設定・発信し、他地域の研究者もそれを受け入れて課題解決に取り組むという、世界的な知の階層性がありました。グローバル化が進展する現代世界では、欧米諸国が生み出す問題関心の共有化が各国でますます進んでいます。非欧米諸国出身者にしても、また非欧米地域を対象とする研究者にしても、その多くは欧米諸国で教育を受けてきました。そして、そこでの問題関心を持ち帰ることにより、欧米中心の知的体制の基盤作りに参画してきました。こうして欧米諸国で開発された分析枠組みは一層の普遍性を獲得し、それぞれの学問領域で国際的な特権的位置を占めるに至っています。
 このような欧米中心の知的状況が、非欧米諸国の研究者間における問題関心の共有、同時代的課題についての対話の促進等を可能にしてきたことは否定できません。しかし、このような知的状況下において今われわれに求められているのは、知の世界的共有が重要であることを十分に認識しつつ、欧米の大学等を中心とする知や情報の生産様式に対し、批判的なスタンスを維持することであると、地球社会研究専攻は考えます。

現状認識から教育研究現場へ

 本専攻は、上記の現状認識を次のような形に組み替えて教育研究の場に投じます。

批判的スタンスの維持
 ユーロセントリックな枠組みだけで研究関心を分析・理解する欲望を抑えること。
オルタナティヴの模索
 現代における課題や問題枠組み、方法に関する非欧米的視点の獲得に努めること。
世界への発信
 それを世界に対し説得的に発信するため、共同研究の場の構築を目指すこと。

地球社会研究専攻 独自のコンセプト・教育研究目標

 本専攻は、それをさらに次の3つの教育研究目標として具体化しています。

問題に焦点をあてて考えていくこと(issue-focusedなアプローチ)
 社会科学は、政治学、経済学、社会学のような個々のディシプリンに分岐することで学問を深化させてきました。しかし、現代世界の諸問題を個別の学問領域の中だけで読み解くことは容易ではありません。そこで本専攻では、発想を逆転させます。すなわち、個別ディシプリンで問題に近づくのではなく、目の前にある問題全体を把握してその複雑な文脈を解きほぐし、そこから社会科学の諸領域に検討課題を下ろし、問題解決のフレームワークを構築するという認識方法です。

現実的な解決を志向すること(solution-orientedなアプローチ)
 今日の地球規模の問題群は、社会科学のためにあるのではありません。問題に直面する人びとから眼をそらさず、彼らの声に耳をふさがず、問題の軽減もしくは解決を図っていくことこそ社会科学に課された使命のはずです。本専攻では、机上の理論的解決ではなく、実現可能な解決策を模索し提示する方途を考えます。

西欧中心の思想から脱却すること(de-Eurocentricなアプローチ)
 グローバル化した世界人口の大部分は、西洋文明を取り入れつつも地元の文化を生きる人びとです。アジア、中東、アフリカ、ラテンアメリカ等非西洋圏で発生する諸問題の解決にあたっては、西洋世界が当然としてきた原理や思想、発想の押しつけにならないよう注意すべきです。本専攻では、近代西洋型教育を受けてきた私たちには容易ではない、しかしグローバル時代に必要な、西欧中心の思想の問い直しに取り組みます。

 これらの基本方針のもとに、次の四点、1. Security(安心・安全) 2. Sustainability(持続可能性) 3. Creativity(創造性) 4. Identity(アイデンティティ)を研究と教育の中心におき、地球社会と人々の生活の質の向上を追求します。

基幹講義群・実践科目群・演習

 上記の教育研究目標を達成するために、本専攻は基幹講義群・実践科目群・演習(ゼミ)から成るカリキュラムを提供しています。
 基幹講義群では、文化、越境、平和、メディア、環境を5つの重点領域として、地球規模の諸課題に理論面から取り組みます。実践科目群では、それらの課題の解決に向けた現実的なアプローチ、およびメディア技術等を学びます。演習は、教員の講義を軸とする科目群とは異なり、教員の指導のもと履修者が発表・コメント・討議を積み重ねていく共同トレーニングの場です。
 同じゼミに所属していても、研究テーマが近いとはかぎりません。ですから、予備知識は少なくとも発表者から学ぼうとするゼミ仲間に対し、いかに自分の研究内容をうまく説明し、問題意識の共有可能性を論理的に語るかが大切になります。演習とは、このような論理的提示・共感的批判の場であり、履修者の積極的参加が不可欠な相互学習の場であると心得てください。

多彩な客員教員陣

連携協定機関からの客員教授
 本専攻は、三菱総合研究所、国際交流基金、JICA(国際協力機構)、日本国際問題研究所と連携協定を結び、教育や研究に活かしています。本専攻の院生は、これらの研究機関からの客員教授・准教授として招聘される、第一線で活躍する研究者や責任者から刺激ある講義を受けるだけではなく、連携機関が行うシンポジウムやプロジェクト企画等の情報を得て、参加することにより、社会における実践知の組み立て方を学び、研究やキャリア形成に役立てていくことができます。

海外から招く客員教授
 本専攻は、毎年度1-2名の客員Ⅲ種教授を海外の研究機関から招聘しています。これまで、ロシア、タイ、ベトナム、オーストラリア、イギリス、メキシコ、インド、ドイツ、米国、トルコ、フランス、フィリピン、韓国、スペイン等から、第一線の研究者が総計30名、本専攻で教育に当たってきました。最先端の講義を受け履修単位を得るという貴重な経験に挑戦してください。

実践科目群の客員教授
実践科目群では、連携協定機関から招聘した客員教授の講義の他に、地球社会研究専攻でとくに重視しているデータ処理・分析、電子メディアや映像技術の能力を高めるための、専門家による講義も準備しています。この講義には、映像作成の「技術」だけではなく、その技法を使って新たな活動やキャリアを実践して新しい分野を切り開き、組織や個人として独自に展開している実践者を招聘し、その知見を十全に学生に伝えるとともに、受講生とともに、問題意識を開拓することを行います。

三菱総合研究所等でのインターンシップ

 本専攻は、日本有数の民間シンクタンク(株)三菱総合研究所でインターンシップを実施しています。参加できるのは本専攻所属の院生だけです。三菱総合研究所の実際の調査・研究業務、コンサルティング業務に参画することにより、ダイナミックな経済活動の中での社会問題の捉え方、解決方策を導き出すシナリオ作り等、生の現場での調査・研究の進め方を身に付けることができます。その他、国際交流基金等のインターンシップも一定条件のもとに単位化が可能です。

独立研究を単位化するリサーチ演習

 本専攻の院生は、休学せずに一定期間大学を離れ、フィールドワークや文書館等での資料調査等の独立的研究を進めることができます。

成果公開を支援するプロジェクト演習

 本専攻では、教員の指導のもと、在籍院生が教育目的に合致したワークショップやセミナーを企画運営し、国際会議等で研究発表を行うことを履修面で応援しています。

地球セミナー

 本専攻は、各界で活躍する方を講演に招き、参加者が自由に議論するという公開の「地球セミナー」を年に4回ほど開催してきました。地球セミナーには、他専攻や他研究科からも教員や院生が参加します。地球セミナーは履修単位にはなりませんが、地球社会の現状や展望をさまざまな角度から見直す機会、刺激と活気を得る場として院生に提供されています。また、本専攻の院生がとくに招聘したい研究者がいれば、その旨を教員に伝えてください。場合によっては他のプログラム等とあわせて、教員とともに実現していくことも可能です。
 このほか、社会学研究科には「ジェンダー社会科学研究センター」「平和と和解の研究センター」などの、特定のテーマのもとに学際的な研究と教育を目的にしたセンターがあり、また、両専攻の共通科目に「先端課題研究」があります。そこでの活動に院生が積極的に参加し、自らの企画を立てたり、また研究報告の場とすることも可能です。

修士論文の作成

 修士院生は、修士論文提出年度9月の「修士論文中間発表会」で、論文計画の進行状況について教員や院生と質疑応答を行う必要があります。中間発表会は本専攻内では公開です。修士1年生も出席し、計画の立て方、効果的なプレゼンテーション、質疑応答の進め方等を体験的に学習します。
 修士論文提出は1月中旬、修士課程最終試験は2月初旬です。最終試験も公開ですが、試験ですので発言は教員に限られます。他の院生はオブザーバーとして参加します。
 博士課程への進学を希望する修了予定者には、この最終試験が博士課程入学試験の第一次試験の一部になります。修士論文は博士論文への萌芽を示すものであり、その評価は博士課程入学試験の審査項目のひとつであるからです。

博士論文の作成

 博士課程に入学した院生は、3年間で博士号を獲得するのが原則です。博士論文提出のチャンスは、1月、3月、6月、10月の年4回です。論文が提出されると1~2ヶ月後に論文試験委員による公開口頭審査があります。この審査では、博士論文について審査委員と提出者のあいだで、2時間ちかい真剣な質疑応答が繰り広げられます。質問者は審査委員に限られますが、院生はオブザーバーとして参加し、最終学位である博士号が生まれる場に立ち会うことができます。

共同研究室について

 教員と院生の重要な接点のひとつが、共同研究室です。本専攻の共同研究室はマーキュリータワー4階(電話042-580-9098)にあり、小林みゆき助手が在室しています。遠慮なく連絡してください。

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