プログラムとしての特徴は大きく2つ挙げることができます。
第一に、地域という点から見れば、1.ヨーロッパ特にフランスの移民問題、2.南北アメリカの越境移動と移民政策、3.日本を中心としたアジアの国際移動の3つをカバーすること。
第二に、テーマということからすれば、1.国際移民現象と移民政策・市民権、2.国際移動とジェンダー・再生産領域の再編成、そして3.国際的な産業再編成と発展途上国地域開発が重点領域といえるでしょう。

専任はわずか2名ですが、地理的にも領域的にも相対的に広範な視野をもつプログラムを提供しているといえるでしょう。また学部科目を担当する非常勤教員として、本プログラムは学外からも多 彩な研究者の支援を受けています。
このほか国内外から研究者の受け入れを積極的に行い、大学院生の研究交流機会の拡大にも努めています。


専任教員

小井土彰宏 (KOIDO Akihiro)社会学研究科・教授

小井土彰宏

東京大学大学院社会学研究科で社会変動論を専攻し、世界システム視角に関する理論的な研究と多国籍企業の展開について分析。The Johns Hopkins Universityの社会学部に留学し、国際開発・国際移民研究を専攻する。アメリカ・メキシコ国境でフィールドワークを繰り返し、日米多国籍企業の相互競争の中でのメキシコ・マキラドーラ(輸出加工工業)の転換と地域発展に関する博士論文で1992年学位取得。帰国後、北海道大学文学部・上智大学国際関係研究所で国際社会学を担当。国境を越える企業が途上国の労働者と地域社会に与える影響と越境する労働者がつくりだす社会的なネットワークと両側社会に与える影響を、統合的に理解することを機軸として研究を継続。実証的には、北米については90年代のアメリカにおける移民排斥運動とNAFTAを中心とした国際統合の矛盾を分析した。日本に関しては、90年代後半の製造業の空洞化傾向と外国人労働者の増大の同時進行を、茨城県を中心とした北関東での実証研究で考察し、日本に残る製造業の労働力戦略の中での外国人の役割について考察した。
2001年一橋大学に国際社会学の二人目の教員として赴任。移民政策の国際比較に研究をすすめ、現在は、9.11事件以降のアメリカでの移民規制の強化の矛盾と移民運動の高まりについて実証研究を持続的に行い、日本の移民政策を検討するための比較の視点を提供することを目指している。

飯尾真貴子 (IIO Makiko)社会学研究科・講師

 米国オレゴン州ポートランドの4年制大学(Lewis &Clark College)で国際関係学を専攻し第3言語としてスペイン語を習得。米国でのメキシコや中南米出身移民との出会いが原点となり、日本に帰国後、一橋大学大学院社会学研究科の国際社会学プログラムに進学。修士および博士課程を通じて、米国移民規制の厳格化が、メキシコ出身移民やその家族、そして移民コミュニティにどのような影響を及ぼしているのか、調査研究を続けてきた。主に、メキシコ・シティ周辺の大衆居住区(2011年~2013年)、メキシコ南部の農村地域(2014年~2018年)、米国カリフォルニア州農業地帯(2018年~2019年)において断続的にフィールド調査を繰り返すことで、計200人以上におよぶ移民やその家族の移住や規制を巡る経験、そして米国からメキシコ出身地域へと戻った帰還者の経験を聞き取ってきた。
 こうしたフィールド調査の成果にもとづいて、2020年6月に博士論文『米国移民管理レジーム下でのトランスナショナルな社会空間の再編――メキシコ村落出身移民の包摂と排除をめぐる『道徳的秩序』に着目して』を提出し、学位(博士号)を取得。主要論文は、「非正規移民1150万人の排除と包摂――強制送還レジームとDACAプログラム」小井土彰宏編(2017年)『移民受入の国際社会学――選別メカニズムの比較分析』、名古屋大学出版会、48頁~69頁、や「米国移民規制の厳格化がもたらす越境的な規律装置としてのトランスナショナル・コミュニティ」『ソシオロジ』(2021年3月掲載予定)などがある。

学部生ゼミに関するメッセージ:

私の専門は、主にアメリカ合衆国およびメキシコをフィールドとする国際移動研究ですが、多様な地域を研究する院生や研究者と研究交流してきた経験を活かし、「国際社会学」という視座から、皆さんの幅広い関心に応えられるような学びの場を一緒に作っていきたいと考えています。また、自身の海外における留学経験や調査経験をふまえながら、海外留学に関心を持つ学生や多様な背景を持つ学生が安心して議論できるようなゼミを目指します。現時点では、学部ゼミの方向性を以下のように構想しています。
 グローバリゼーションのもとで拡大する様々な越境的な社会プロセスのなかでも、とりわけ人の国際移動をめぐる事象について、基礎的な文献の輪読を通じて理解を深め、一緒に議論していきましょう。その際に、グローバルな政治経済構造や国家の論理だけでなく、移動する(あるいは移動を余儀なくされる)人々とその家族が直面する困難や希望といった内面や生活世界にも目を向けていきます。そして、国境という物理的な境界にとどまらず、ジェンダー、人種やエスニシティ、滞在資格や経済的基盤の有無といった様々な「境」が、移民と難民の経験においてどのように複合的に交差し、影響し合っているのか考えていきます。これらの議論を通じて、自分と他者との間に横たわる様々な「境(=差異)」を乗り越えようとする視座と社会的な想像力を養うことを目指します。
 また、学部ゼミでは、学生の興味関心もふまえながら、フィールドワークに関するワークショップやゼミ合宿などを行う予定です。学生の皆さんには、座学だけでなく私たちが今生きている日本社会の現実にも目を向け、実際の現場や人々にかかわることで得られる経験を大切にしてほしいと思います。

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*大学院生もこれらの講師の講義を受講可能です。

小ヶ谷千穂(フェリス女学院大学教授)
2015年度-2016年度「国際社会と文化」担当
研究テーマ国際社会学、ジェンダー論、フィリピン研究
小倉充夫(津田塾女子大学名誉教授)
2014年度「国際政治社会学」担当
研究テーマ国際社会学、開発と発展の社会学、アフリカ地域研究
鄭暎惠(大妻女子大学教授)
2012-2014年度「国際社会と文化」担当
研究テーマアイデンティティ論、ジェンダー論、国民国家とエスニシティ論、韓国朝鮮文化他
佐藤裕(一橋大学学生支援センター特任講師)
2010年度-2013年度「国際政治社会学」担当
研究テーマグローバル化のもとでのインドの都市再編、貧困女性の生存維持
塩原良和(慶應義塾大学准教授)
2009年度「国際政治社会学」担当
研究テーマネオリベラリズムと多文化主義の転換
 
定松文(恵泉女学園大学准教授)
2008年度「国際社会と文化」担当
研究テーマコルシカ島を中心とするフランスの地域主義、EU統合と移民問題
若松邦弘(東京外国語大学准教授)
2008年度「国際政治社会学」担当
研究テーマEU内の比較政治学、ヨーロッパ統合と共通移民政策
墓田桂(成蹊大学文学部准教授)
2007年度「国際政治社会学」担当
研究テーマ国内避難民を中心とした強制移動に関する研究
 
吉野耕作(上智大学教授)
2006年度「国際政治社会学」担当
研究テーマ文化ナショナリズムの社会学的研究

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助手

吉年誠 (政治学・国際社会学共同研究室助手)

政治学分野も担当し、本プログラムウェブサイトの管理補助者を含め、主に研究補助業務に専念しています。本プログラム修士課程修了。

主要な研究関心パレスチナ/イスラエルにおけるナショナリズム、 特に市民権、住宅・土地、戦争をめぐる当社会での社会集団関係の中で発現し、作用するナショナリズ ムの再生産・再編 過程。

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