社会学部の授業について

社会学部の教育目標

 社会学部は1951年の創立以来、社会をさまざまな視点・角度から総合的に研究し、人文・社会諸科学の総合を目指す学部として発展してきました。21世紀に入り、国際的にも国内的にも社会はますます複雑になり、多くの矛盾や葛藤を抱え、進むべき方向が見えにくくなっています。このような状況の下で、いま求められているのは、社会を多様な角度から多面的・総合的にとらえ、さまざまな分野で、新しい社会を切り開く力となって活躍できる人材です。

 社会学部は、豊かな教養、高い倫理性、高度の専門的知識を備え、批判的能力や豊かな構想力、問題の分析・解決能力をもち、政治・経済・社会のあらゆる分野で活躍できる新しい職業人の育成を目指し、総合性・専門性・人間性・国際性を重視した基盤的能力の育成を追求しています。

社会学部での勉学

 一橋大学の学部教育の大きな特徴(→学部教育科目と教養教育科目)は、「4年一貫教育カリキュラム」と呼ばれるカリキュラムと「ゼミの一橋」として有名な少数精鋭のゼミナール制度によって、学生一人一人の持つ興味や関心、能力を尊重し、存分に伸ばせるように工夫していることです。

「4年一貫教育カリキュラム」では、1年生から専門分野を学ぶことができ、教養教育も4年間にわたって高度なレベルまで積み上げることができます。

 社会学部のカリキュラムの重要な柱として、3、4年生で所属するゼミナールがあります。これはすべての学生が2年間、必ず履修しなければならない必修科目です。ゼミナールと呼ばれる科目が開かれている大学はありますが、総ての学生が2年間、必ず履修しなければならない大学はごく僅かです。社会学部では、学部のゼミナールと教養のゼミナールの中から1つを選ぶことができます。ゼミナールは、3~4年生の2年間、同じ先生と仲間で専門をさらに深く学び、卒業論文を完成させる場です。ゼミナールでは、多面的な能力を身につけることができます。別のゼミナールをサブ・ゼミナールとして選ぶこともできます。3年生から2年間履修するゼミナールのほかに、1年生の後半から履修できるゼミナール形式の少人数授業も用意されています。

他大学との交流

 さらに興味や関心に応じて、複合領域コースや海外の大学への留学、多摩地区の他の国立大学や津田塾大学との単位互換制度を活かすこともできます。

  • 東京医科歯科大学・東京工業大学との間で設けられた複合領域コース(→複合領域コース)で、人文・社会科学と医学や理工学との学際分野や複合領域を学ぶこともできます。この制度を使って、複数の学士号を取得することもできます。
  • 海外の大学に1年間、留学して勉強することもできます。学部・大学院をあわせて約40名が毎年、派遣留学生制度を使って留学しています。この制度では、往復の旅費・滞在費・学費が支給されます。留学先は、協定校だけでなく、世界中の大学から自由に選ぶことができます。
  • 多摩地区にある国立4大学(電気通信大学・東京外国語大学・東京学芸大学・東京農工大学)、津田塾大学との間には単位互換協定が結ばれています。

 みなさんの興味や関心、能力を、恵まれた環境の中で、存分に伸ばしてください。

学部教育科目と教養教育科目

 社会学部で履修する科目は、大きく学部教育科目と教養教育科目に分かれています。1,2年生(前期課程)は主に教養教育科目を多く履修し、学部教育科目については導入的な科目と基礎的な科目を履修します。3,4年生(後期課程)は、主ゼミナールを含む学部教育科目を中心に履修します。

 教養教育科目は、外国語科目、数理情報科目、運動文化科目などから構成される全学共通の科目です。 社会学部の学部教育科目は導入→基礎→発展の3段階に分かれ、導入的、概論的な科目からしだいに専門的、個別的な科目へと積み上げて履修できるようになっています。

学部教育科目は次の科目区分に分けられています。

科目区分

  • 導入科目
  • 社会学研究分野
  • 共生社会研究分野
  • 歴史社会文化研究分野
  • 超域社会研究分野
  • 科目群外講義

 科目区分は授業科目の分類の基準で、皆さんの勉学を縛るものではありません。社会学部は、人間と社会と自然に対する皆さんの幅広い興味に応え、一人一人がそれぞれの問題関心に応じて多様な組み合わせで自由に勉強できることが大切だと考えているので、皆さんの勉学の内容を専攻やコースによって細分化していません。自分自身の問題関心に沿って1つの専門領域に打ち込むこともできれば、またいくつかの領域にわたって自分の問題を追求することもできます。

4年一貫教育カリキュラム

4年一貫教育カリキュラムの特徴は、

  1. 教養教育科目と学部教育科目を4年間にわたって履修できます。
  2. 初級・入門から上級レベルまで、学習段階に応じた科目を学ぶことができます。教養教育のうちの共通科目(言語文化、自然・数理、運動文化)は基礎→発展の2段階、専門科目は導入→基礎→発展の3段階です。
  3. 1学年2学期制と1年生からの積み上げで、より高いレベルまで到達できます。
  4. 学部間の垣根も、共通教育と専門教育の間の垣根も低くいので、興味・関心に応じて幅広い勉強ができます。
  5. 複数の専門を持ち、複眼的な物の見方や多面的な思考を身につけることができます。

 2000年の秋に実施した学生のアンケートでも、4年一貫教育カリキュラムは高く評価されています。

4年一貫教育カリキュラムについて 学生教員
「4年一貫教育カリキュラムは良い制度だ」と思う80%77%
「導入→基礎→発展の区分は良い制度だ」と思う36%35%
「導入→基礎→発展の区分は良くない制度だ」と思う23%12%

ゼミナール

 「ゼミの一橋」といわれるほど有名なゼミナールは、通称「ゼミ」と呼ばれています。一橋大学の「ゼミ」は、1世紀以上にわたって連綿と続く伝統的な少人数教育システムです。社会学部では総ての学生は、3・4年生の2年間、必ず「ゼミ」に所属しなければなりません。

 1・2年生の間に見つけ出したそれぞれの興味関心にしたがって「ゼミ」の指導教員を選び、3・4年生の2年間を通して同じ先生の下で、自分が最も興味・関心のあるテーマを選んで勉強し、卒業論文を完成させます。

 「ゼミ」は、主体的に学び議論する場として、一橋大学の教育の中核を担っています。問題を設定する能力、新しい概念を作りあげる能力、情報を収集・整理し、分析・創造する能力、プレゼンテーション能力、コミュニケーション能力など、多面的な能力を身につけることができます。時には4時間以上の長丁場になったり、毎日のように集まるゼミもあります。夜になれば、大学周辺の飲食店は教員とゼミテン(同じゼミの仲間のことです)のグループで賑わい、合宿やコンパ、ゼミ旅行などはどのゼミでも行われています。ゼミによっては、国内外での調査、企業やNPOでのインターンシップなど、多彩な活動が行われています。

 2年間の濃密なつきあいは先生とゼミテン、ゼミテン同士、さらには同じゼミの先輩・後輩の絆を強め、先生を中心にしたタテ・ヨコのつながりは卒業後も続きます。

 2000年の秋に実施した学生のアンケートでも、ゼミは高く評価されています。

「ゼミへの期待」トップ3(1・2年)
ゼミでの議論73%
先生との交流67%
ゼミテン同士の交流62%
「ゼミの良い点」トップ3(3・4年)
ゼミテン同士の交流71%
指導教員との交流68%
ゼミでの議論66%

複合領域コース

 複合領域コースとは「四大学連合憲章」の目的を達成するために設置された学習プログラムです。「『複合領域コース』、『編入学』および『複数学士号』に関する三大学協定書」により、所定の条件を満たすと、東京医科歯科大学は医学部保健衛生学科の2年次、東京工業大学は希望する勉学の内容により東京工業大学が指定する学部の3年次に編入学することができます。このプログラムを使って、一橋大学の学士号のほかに、東京医科歯科大学・東京工業大学の学士号を取得することができます。

 複合領域コースに関する詳しいことは、一橋大学公式サイトの「四大学連合」ページを参照してください。

四大学連合憲章

 「四大学連合は、連合を構成する各大学が、それぞれ独立を保ちつつ、研究教育の内容に応じて連携を図ることで、これまでの高等教育で達成できなかった新しい人材の育成と、学際領域、複合領域の研究教育の更なる推進を図ることを目的とする。」

「四大学連合憲章」より