登壇者と発表要旨の紹介
＊所属はワークショップ当時のもの
#Grant Jun Otsuki
School of Humanities and Social Sciences, Victoria University of Wellington
論題：“Swarming is Seeing: Cyborg Blasphemy and Relations of Perception”
要旨：What remains after the cyborg is the call to read our cultures carefully, critically, and most of all, blasphemously. Haraway’s original Manifesto highlighted how the cyborg emerged from a blasphemous reading of Cold War military technology and culture to generate new anti-essentialist feminist political subjectivities. In the contemporary moment, the swarm and the crowd have captured how many think about human and non- human behaviors. They seek to exploit swarms’ decentralized, adaptive, and emergent behaviors to challenge top-down structures of power for transformative ends. How might swarms be read blasphemously? In this paper, I use studies of ant behavior and human perception as a point of departure to see swarms not simply as an emergent mode of social organization, but also as a form of perceptual embodiment. To swarm is to see in a specific way. I thus explore how changes in how humans perceive the world might simultaneously be technologies of and potentially against swarms.
大澤 博隆
筑波大学 システム情報系知能機能工学域 助教
論題「社会的サイボーグの時代に向けて:エージェント技術による人間社会のサイボーグ化」
要旨：スマートスピーカーやSNS上のソーシャルボットのように、人間から見たときに、他者性のある存在として働き、人間社会 に介入する情報システムが、我々の周りに徐々に整備されつつある。このようなシステムと人間とのインタラクションを扱う学問が、ヒューマンエージェントインタラクション(HAI)と呼ばれている。HAI技術は人間の頭脳労働の代替の域を超え て、人間の感情労働の領域に介入しつつある。人の間に介在し、社会的なチャンネルに働きかけて人の行動を変える、こうしたエージェント技術は、我々自身の能力を高めるサイボーグ化技術ではなく、我々の社会の能力を高めるサイボーグ化技術であると考えられる。本発表ではこの観点から、近年のエージェント技術の方向をまとめ、我々の社会の将来像について論じたい。
田中 雅一
京都大学人文科学研究所 教授
論題「女神とゾンビ:『サイボーグ宣言』の前夜と<その後>」
要旨：「サイボーグ宣言」は「どうせなら私は女神ではなく、サイボーグとしてスパイラル・ダンスを踊りたい」という文章で結ばれている。ここでハラウェーが 念頭に置いているのはスターホークである。他方、「サイボーグ宣言」の4半世紀後に公刊された「ゾンビ宣言」はハラウェーに対する批判の書であるが、 はたして著者たちは「女神でもサイボーグでもなく、ゾンビとしてスパイラル・ダンスを踊りたい」と主張しているのだろうか。また、同時代を批判的に検討 するとき、われわれはどこまでnon-human(批判的文化人類学における異文 化と言える)という外部を必要とするのか。こうした問題について考えたい。
菅原 和孝
京都大学 名誉教授
コメンテイター
