北海道大学 2004年度前期 全学教育歴史の視座(論文指導)
フランス革命と近代
シラバス
1 授業の目標:
戦後日本の社会科学において、西洋近代は政治社会の範型としての位置を占めてきた。しかし、とりわけここ30年来、ヨーロッパ世界の相対化、近代的理念への再考などによって、そうした見方は問い直しの途上にある。この授業では、今後社会科学や歴史を学ぶにあたって踏まえておくべき、こうした問題状況のアウトラインを知ることを目標とする。そのために、長く近代市民革命の典型と見なされてきたフランス革命を題材とし、革命の概要と、19世紀から現代に至るフランス革命論の変遷を採り上げる。近代への多様な捉え方を理解することで、「現代」をどのように位置づけることができるのかを考える手がかりとしたい。さらに、こうした問題について、各自の考えを学問的に表現する訓練を行う。
2 到達目標:
(1)民主主義、自由主義、保守主義、マルクス主義、市民社会、公共性、政治文化、
ポストモダニズムなど、社会科学の基本概念や思想について理解する。
(2)(1)の理解のうえに立って、各自の西洋近代への見方を形成する。
(3)自らの考えを、学問的手順を踏んで、レポートにまとめる。
3 評価の基準と方法:
(1)出席(20%):毎回出席カードを配布する。
(2)書評(10%):配布したリストの中から1冊を選択して、2000字で書評する。
(3)映像資料批評(10%):配布したリストの中から1つを選択して、2000字で批評する。
(4)ターム・ペーパー(60%):以下のテーマに即して、8000字の小論文を作成する。
課題:「フランス革命に関連する歴史的事件を一つ選択し、それへの考察を通じて、
自らの西洋近代に対する考えを展開せよ。
4 教科書:
澤田昭夫『論文の書き方』講談社学術文庫、を必携とする。その他の文献は、授業開始時に指定する。
4月16日 授業のガイダンス
23日 レポート、ターム・ペーパー
書き方のガイダンス
30日 フランス革命論序説
5月 7日 フランス革命とデモクラシー@
― 人民主権と公共性
14日 フランス革命とデモクラシーA
― 国民国家
21日 フランス革命と自由主義@
― 市民社会論
28日 フランス革命と自由主義A
― 資本主義論
6月11日 保守主義のフランス革命批判
18日 マルクス主義のフランス革命批判@
― マルクス主義の登場
25日 マルクス主義のフランス革命批判A
― ロシア革命
7月 2日 20世紀におけるフランス革命@
― 非西洋諸国の独立運動
9日 20世紀におけるフランス革命A
― 世界システム論
16日 20世紀におけるフランス革命B
― 国民国家批判
23日 まとめ:フランス革命と現代
ターム・ペーパー作成日程
5月10日 テーマ提出
5月30日 参考文献リスト提出
6月30日 テーゼ・構成提出
7月30日 ターム・ペーパー提出
批評提出期限
5月20日 書評
6月30日 映像資料批評