歴史の視座 文献・資料リスト1
◎…必携 ○…お勧め
T レポートの書き方(1冊もしくは数冊を参考にしてレポートを書くこと)
◎澤田昭夫『論文の書き方』講談社学術文庫
基本的な手続きについてはこれ一冊でOK。
○本田勝一『日本語の作文技術』朝日文庫
実践的な日本語鍛錬のテクストとして最も有用。
木下是雄『レポートの組み立て方』ちくま学芸文庫
定評ある入門書。
澤田昭夫『論文のレトリック―わかりやすいまとめ方』講談社学術文庫
前著より詳しく論文の書き方・考え方を説明。
ウンベルト・エコ『論文作法』而立書房
最も高度な内容の論文用入門書。研究者を目指す人なら読んでおきたい。
U 書評用リスト (以下のリストから1冊を選んで書評)
1 学問論
○森有正『思索と経験をめぐって』講談社学術文庫
本を読むこと、物を考えること、経験を積むことの意味を問い詰めた書。
林竹二『田中正造の生涯』講談社現代新書
田中正造研究を通じて、「学ぶ」ことの意味を追求した書。
エドワード・サイード『知識人とは何か』平凡社ライブラリー
学問とは職業的研究者のためにあるものではない。知識と社会の関係を考えるための書。
ポパー『果てしなき探求―知的自伝』岩波現代文庫(上下巻)
知の成長とは何か。二〇世紀を代表する科学哲学者による平易で感動的な自伝。
2 社会科学方法論
@入門編
○大塚久雄『社会科学における人間』岩波新書
大塚久雄『社会科学の方法』岩波新書
戦後学派の代表者が社会科学を学ぶ意味を論じる。これまで多くの人がこの二著を読んで社会科学を志すようになった。
○内田義彦『読書と社会科学』岩波新書
「精読」するとはどういうことか。ゼミに出る前に、一度は読んでほしい名著。
内田義彦『社会認識の歩み』岩波新書
戦後学派の「近代市民社会」論を要約。
A中級編
石田雄『社会科学再考―敗戦から半世紀の同時代史』東京大学出版会
戦後社会科学への反省と、現代社会科学の課題を誠実に示した好著。
3 歴史学入門
@入門編
E. H.カー『歴史学とは何か』岩波新書
ロシア革命研究を代表する歴史家による古典的入門書。
増田四郎『歴史学概論』講談社学術文庫
歴史学の入門、テーマ設定の仕方、巻末の文献リスト。親切な入門書。
市井三郎『歴史の進歩とは何か』岩波新書
歴史学と「進歩」概念との関係を問い詰めた本。
渓内謙『現代史を学ぶ』岩波新書
ロシア研究の第一人者が、ソ連崩壊を目の当たりにして、歴史を学ぶ意味を問い直す。
A中級編
小田中直樹『歴史学のアポリア―ヨーロッパ近代社会史再考』山川出版社
戦後日本の西洋史学を振り返り、現在の課題を展望する。
B上級編
○ホブズボーム『20世紀の歴史―極端な時代』三省堂(全2巻)
二〇世紀を代表する歴史家ホブズボームの4部作完結編。博覧強記ぶりに圧倒される。
4 フランス革命
@入門編
○松浦義弘『フランス革命の社会史 世界史リブレット』山川出版社
近年の研究史を踏まえた簡潔にして適確な革命史。
ミシュレ「フランス革命小史」『世界の名著37』中央公論社
民主主義の到来としてのフランス革命論。古典的名著。
A中級編
ルフェーブル『1789年―フランス革命序論』岩波文庫
貴族・ブルジョワ・民衆・農民が重層的に織り成す革命過程を描いた名著。
○樋口陽一『比較憲法』第1編、青林書房
フランス憲法学史の要約として最高水準。
B上級編
ホブズボーム『市民革命と産業革命―二重革命の時代』岩波書店
少し古いが、経済史を中心にフランス革命前後を要領よくまとめている。
マチエ『フランス大革命』岩波文庫(全3巻)
ロペスピエールを主人公とした、マルクス主義を代表する革命史。
5 自由主義・民主主義・マルクス主義
@入門編
マクファーソン『自由民主主義は生き残れるか』岩波新書
19世紀以降の自由民主主義の三類型を明快に図式化。
福田歓一『近代民主主義とその展望』岩波新書
戦後政治思想研究の第一人者による民主主義論のエッセンス。
藤原保信『自由主義の再検討』岩波新書
自由主義からコミュニタリアニズムへ。現代アメリカ政治理論への導入。
A中級編
ルソー『社会契約論』岩波文庫
フランス革命を思想的に準備したとされるルソーの代表作。
樋口陽一『自由と国家』岩波新書
フランス革命200周年を期に、フランス革命の現代的意義を憲法の観点から問う。
樋口陽一『近代国民国家の憲法構造』東京大学出版会
戦後日本の憲法学を代表する筆者によるフランスを中心とした近代国家論。
マルクス『共産党宣言』岩波文庫
マルクス・エンゲルスへの入門書。
マルクス『ユダヤ人問題によせて;ヘーゲル法哲学批判序説』岩波文庫
有名な「人権」批判、社会革命への展望を導いた書。
マルクス(花崎晃平訳)『ドイツ・イデオロギー』合同出版
いわゆる「唯物史観」を宣言した書。
マルクス『フランスにおける階級闘争』
歴史家マルクスの真骨頂が発揮された書。
レーニン「帝国主義」「国家と革命」『世界の名著52』中央公論社
帝国主義論の古典。ロシア革命を理解するうえで必読。
B上級編
ベネディクト・アンダーソン『想像の共同体』
国民国家を「想像」による産物と論じ、ナショナリズム研究を画した古典。
ハーバーマス『公共性の構造転換』(新版、1994年)未来社
近代社会の最も基本的原理を「公共性」をキーワードに提示し、その変容を描く古典的名著。
ハイエク『隷従への道』春秋社
ロシア革命を批判し、現代のネオ・リベラリズムの原点となる。
6 世界システム論
※上級編のみ
ウォーラーステイン『近代世界システム 1730-1840s―大西洋革命の時代』名古屋大学出版会
世界システム論シリーズの第3巻に当たる。フランス革命論の新たな視座を提示。