先端課題研究について

現代的な研究課題について、社会学研究科所属の教員が専門を超えて共同で3年間の研究を行う。大学院生も年度ごとにこれに参加することができる。


先端課題研究19(質的研究アプローチの再検討)について

本研究課題では、20世紀末以降の社会科学方法論争における「質的アプローチを用いた研究から一般的主張や因果主張を結論することができるか」「その主張は説得的か」「その主張の説得性を担保する仕組みはどのようなものか」といった問題提起を踏まえ、質的アプローチに基づく研究手法の内実とその説得性確保メカニズムについて、分野間の相違を踏まえた上での総合的な理解を目指す。具体的には、専門家から各分野の考え方の解説を行い、それに関する議論を通して、分野横断的な情報共有を図る。その上で、上記問題提起に対する各研究分野からの応答を整理し、分野ごとの量的アプローチとの関係性をより適切な形で捉えることを目指す。

本研究科はこれまで質的アプローチを重視してきた歴史があり、実態としても質的アプローチを基盤とする研究を展開する社会科学者の割合が多い。 本研究課題は、社会科学方法論をめぐるアクチュアルな論争に寄与するという学術的意義を持つと同時に、質的アプローチに定位する研究者・研究分野に理論武装が求められる昨今の状況においてそのための資源を提供することにもなる。また異分野の状況を知ることは自分野の方法論を再吟味する契機にもなるだろう。

本研究会は、 日本学術振興会による「課題設定による先導的人文学・社会科学研究推進事業(課題名「分野間比較を通した質的研究アプローチの再検討」2020.10.1-2023.3.31)」の助成を受けています。