国際社会学transnational sociologyは、現代社会を揺るがす大きな要因である国境を越えたさまざま過程や構造を対象とし、社会学の分析ツールを用いて、その解明を目指す研究領域です。そのアプローチの特徴は、一方でこれまで社会学が自明視してきた国民国家という分析単位の乗り越えを試みながら、他方で国際関係論・国際政治学とは一線を画して、社会学の固有の強みである具体的な社会関係に根ざした実証を重視するところにあります。過去20年ほどの間に、このアプローチは日本の中で独自の領域として着実に確立してきました。この中で、一橋大学大学院社会学研究科にはいち早く国際社会学の講座が1993 年に設立され、さらに2001年以降は2名の専任教員を有するプログラムとなり、現在は大学院生総計20名余を数え、限られたスタッフでありながらも国際社会学の大学院教育において一つの拠点としての重要な機能を担っています。
13:00 開会の挨拶 とプロジェクト趣旨 小井土彰宏(亜細亜大学)総合司会:竹中歩(一橋大学)第1部 庇護申請政策をめぐるアメリカ・メキシコの構造転換司会:南川文里(同志社大学)13:15 小井土彰宏(亜細亜大学) 米国境管理の外部化とメキシコ国家の転換――中南米難民の選別のリモート化13:45 飯尾真貴子(一橋大学) メキシコにおける人道的管理レジームの形成――国際機関、国家、支援組織の相互連関に着目して第2部 ヨーロッパとその周辺での移動をめぐる規制と保護司会:園部裕子(香川大学)14:40-15:10 工藤晴子(神戸大学) トルコ南東部における震災対応と難民支援 15:10-15:40 堀井里子(国際教養大学) 渡航管理をめぐる政治――EUの渡航情報承認制度ETIASを事例に第3部 日本とアジアの間での技能をめぐる相互交渉司会:小川玲子(千葉大学)16:05-16:35 平野恵子(横浜国立大学) インドネシア介護士資格創設からみる再生産労働者の”技能化”――日本への送出しを契機として16:35-17:05 真住優助(金沢大学)“技能移民“が包括的カテゴリーになるとき――日本における外国人留学生の階層化された労働市場への参入 17:20-18:10 総括質疑主催:科学研究費課題(基盤研究A 19H00607)研究グループ(研究代表 小井土彰宏)共催:国際社会学研究会