フランス留学・在外研究準備


1 フランスへの在外研究準備(2009年9月の情報)

2 フランス留学情報(2000年ごろまで)


1 フランスへの在外研究準備(2009年9月の情報)


1 2009年9月までの情報である。受け入れ教官は決まっていることを前提とする。

2 研究者用のビザ(visa de long séjour scientifique)を取るためには、(1)長期ビザ申請書、(2)写真2部、(3)protocole d'accueil、(4)パスポート+コピー、(5)99ユーロ相当の日本円現金、が必要。家族を同伴する場合は、(6)戸籍抄本と法定翻訳が必要。

3 このうち最も重要な書類はprotocole d'accueil(もしくはconvetion d'accueil)である。

(1)Protocole d'accueilとは、受け入れ機関がフランスの県庁に代わって実質的な資格審査を行い、在仏許可を与える正式な行政書類である。在日仏大使館のHPからダウンロードできるが、フランスの機関も独自様式の書類を持っているようである。

(2)審査のためには以下の書類をあらかじめ受け入れ機関に送付する必要がある(すべて英語もしくはフランス語)。
・在職証明書
・収入証明書(大学からの給与、奨学金など)
・保険証明書(賠償責任、治療費)
・博士学位証明書
・なお、フランスでの住所もあらかじめ確定しておく必要がある(下記7を参照)。

(3)以上の書類を送れば、受け入れ機関の責任者がサインをし、県庁のサインももらった上で、書類を返送してくれる。下記6の通り、この手続きに最低2〜3ヶ月は見ておいた方がよい。

(4)なお、フランスの受け入れ機関が外国人研究者の受け入れに慣れているとは限らない。上記の手続きを知らなかったり、protocole d'accueilの意味を知らないこともある。したがって、こちらの側から必要な手続きを確認し、場合によっては教示する必要がある。在外研究準備でトラブルに陥らないたいめ、この点はきわめて重要と思われる。

4 ビザの入手について。protocole d'accueilがあれば、在日仏大使館に足を運んで5分程度で手続きが終わる。2〜3日後にビザ付きパスポート返送。特別な事情を説明したり、関係者のコネクションを使えば即日発行も可能らしい。いずれにせよ、関係書類が揃っていれば4日程度でビザ取得が可能。
 ただし、在日仏大使館は、ビザ関係の電話での相談に応じておらず、「メイルでのみ質問を受けつける」とあるが、メイルを送っても返事は返ってこない(複数の経験者談)。あらかじめネットなどで情報を十分収集し、書類を揃えて直接大使館を訪ねるしかない。

5 carte de séjourについて。ビザの効力は3ヶ月なので、フランス渡航後に滞在許可書を申請することになる。必要な書類は、(1)研究者用ビザ付きパスポート+コピー、(2)protocole d'accueil、(3)戸籍抄本と法定翻訳(自分用と家族用)、(4)3枚の顔写真、(5)住居証明書(あるいは契約書)。

 これらのうち最も重要な書類は、やはりprotocole d'accueilである。書類がそろっていれば、県庁に行って並ぶ必要はなく、受け入れ機関が手続きを代行してくれる(※)。なお、法定翻訳は渡仏の前に手に入れておくことが望ましい。在日仏大使館のホームページに請け負い業者の一覧があり、戸籍抄本をファックスで送れば、最短3日程度で法定翻訳を送付してくれる。

※正確には、パリ市内であれば、Service des Ressources Humaines, Délégation Paris A, CNRSが手続きを引き受けている。

6 その他の注意点。例によって、フランスの行政は仕事が遅い。ファックスやネットでやり取りしても、2〜3週間書類が放置されることは覚悟しておかなければならない。外国人とのやり取りにも慣れていない。したがって、(1)できるかぎり早く準備に取りかかること、(2)先方に任せきりにせず、要件を繰り返し確認し、進捗状況や手続きについて頻繁に確認を取ること、が不可欠である(たとえば私の場合、出発直前の8月頭から9月半ばまで、担当の秘書が連絡のないまま夏季のバカンスに出かけてしまい、作業が中断したこともあった)。

7 住居について。2000年以降の住宅バブルによって、パリ市内のappartementの賃貸費は急激に上昇している(年10%程度)。1LDKの部屋(家具付き)でも月10〜13万円、2LDKになると15〜20万円はする。それなりのお金を払っても、水回りの不備、暖房設備の貧しさなどが付いてまわるため、自分の目で確認することは欠かせない。
 Cité Internationale Universitaireの部屋で構わないならば、ネット上で手続きができるようになった。ただし予約から回答まで1〜2ヶ月待ち。それ以外であれば、知人による紹介物件が最善、前もって渡仏して住居を選ぶのが次善、ネット上で探すのが最後の手段かと思われる。通常大家との契約にあたっては、パスポートはもちろん、在職証明、給与証明、住宅保険、場合によっては十分な所得のある保証人の保証書など、事細かな書類が要求される。

8 郵便について。いわゆる国際速達便、日本のEMSを使って荷物を送ることは勧められない。フランス国内のシステムが悪く、配達までに時間がかかる上、配送員がアパートのコードを知らず中に入れない、郵便物の保管場所が郊外にしかない、近くの郵便局に再送してもらうまでさらに手間と時間がかかる、等の問題がある。アパートに入れない場合、郵便受けに不在連絡を入れることもできない。この問題はネット上でも様々に指摘されている。私も日本から送った重要書類が届かず、日本に返送されてしまったことがある。一般の国際郵便では、日数の誤差はあっても届かない荷物はなかった。ただし小包は、たいてい箱がボロボロになってテープで補強された状態で送られてくる。


2 フランス留学情報(2000年ごろの古い情報です。)

 近年海外に出ることはますます容易になっている。フランスへの留学についても、語学留学に関しては十分な情報が日本で手に入る。ところが専門的学問をするための留学情報は、誰にでも手に入るレベルで流通しているものはきわめてわずかであり、ほとんどが「口コミ」である。言い換えれば、そのような人的ネットワークが身近にあるかどうかが、留学の可能性や成否を大きく左右することになっている。

 インターネットは、このような基本的な情報、これまで口コミでしか流通しえなかったような情報を共有可能なものにするために、極めて有益な媒体である。発信する側はわずかな労力を提供するだけで済むが、受信する側はそこから大きなメリットを得ることができる。

 自分は98年9月からフランスに留学に来ている。できるだけ細切れの時間を利用して、フランス留学を望む人との情報の共有を図りたい。

いかに留学準備をするか(語学留学を除く)

・パリか地方か

・専門留学必携道具

・研究環境の整備- 図書館・情報管理・コンピューター -

・Librairie a Paris(パリの代表的な書店・古書店)