2015年度
大学院講義「政治学U」
【授業科目の目的】
題目「現代の政治経済学」
政治経済学の代表的な著作を読解し、内容について討議するとともに、教員のレクチャーと討議をつうじて、政治学の基礎概念について体系的な理解を得ることを目指します。
【授業の方法】
講義を「政治学と政治経済学」「資本主義」「国家」「社会規範と運動」「まとめ」という5つのパートに分けます。それぞれについて、現代を代表する著作や最新の論文60-80ページ程度を抜粋し、輪読します。教員のレクチャーでは、今日までの議論動向を広く整理したうえで、その課題と新たな理論仮説を提示します。輪読によって基礎的な知識を得たうえで、教員のレクチャーによって最先端の議論状況を知り、それぞれのパートごとに総括討議を行います。
【他の授業科目との関連】
比較政治学については「政治学1」で、歴史的なアプローチに関しては「政治史1, 2」で扱います。この講義は、おもに理論・学説の検討を行います。
【授業の内容】
第1部「現代政治学と政治経済学」:現代政治学の展開、政治と経済の関係に関する主要な理論を扱います。
第2部「資本主義」:古典的な資本主義論を扱い、それらの理解が今日どういう問題に直面しているのかを扱います。
第3部「国家」:古典的な国家論から資本主義国家論までを扱ったうえで、国家論の再定義がなぜ必要なのかを考えます。
第4部「社会規範と運動」:国家、資本主義と異なる独自のメカニズムをもった社会運動を扱い、その自律性が何に由来するのかを考えます。
第5部「総括討論」:全体を踏まえ、資本主義・国家・社会運動(規範)の相互関係をどうとらえればよいのかを考えます。
【計画(回数、日付、テーマ等)】
@オリエンテーション
1 現代政治学と政治経済学
Aオッフェ「交換関係と政治的制御―正当化問題のアクチュアリティ」『後期資本制社会システム』
オッフェ「福祉国家と社会主義の将来」『思想』
Bエスピン=アンデルセン『福祉資本主義の三つの世界』
Cレクチャー(政治経済学の展開;その隘路;現代の課題) + 討議
2 資本主義
Dマルクス『資本論』第1巻
Eポラニー『[新訳]大転換』
Fレクチャー(経済学における市場;資本主義の危機論;商品化と脱商品化;現代の課題) + 討議
3 国家
Gウォーラーステイン『近代世界システムT』
Hマン『ソーシャルパワー:社会的な〈力〉の世界歴史T』
Iレクチャー(近現代の主権論;資本主義と国家;国家と社会;国家論の再構成)
4 社会規範と運動
Jハバーマス『コミュニケイション的行為の理論(下)』
K橋本努「福祉国家の哲学的基礎―潜勢的可能性としてのケイパビリティ(上・下)」『思想』
Lレクチャー(正統化の危機論;社会規範と政治;個人の自律性と社会運動) + 討議
5 まとめ
Mレクチャー(資本主義・国家・社会規範の相互関係)
N総括討議
【テキスト・参考文献】
Manabaからダウンロードしてください。。
【授業時間外の学習(予習・復習等)】
課題文献の読解と報告準備に2時間〜1日程度は必要かと思います。
【成績評価の方法】
(1)毎回の予習1/3、(2)文献報告1/3、(3)討議への積極的参加1/3、の合計による絶対評価。
【成績評価基準の内容】
文献の内容を咀嚼し、討議に貢献できたか否かによって評価します。
【受講生に対するメッセージ、他】
教員のレクチャーでは、今日までの学問的な論争点を踏まえた新しい理論の提起を行います。概念を学ぶだけでなく、「理論の創造」にもともにチャレンジしていただきたいと思います。
→ レクチャーの全体構成