2026年大学院講義「政治学B」



【担当教員の専門分野】

政治学、比較政治経済学、政治理論

【授業科目の概要】


この授業の目的は、政治学、政治経済学を中心に、社会科学を専門的に研究するための方法論、主要な概念・理論を参加者が学び、優れたリサーチ・デザインを設計できるようになることです。

以下の三つの柱から構成されます。

(1)質的研究、量的研究など社会科学の多様な方法論について基本書を輪読し、それぞれの強み・弱みについて共通了解を形成する。

(2)政治学のみならず、社会学、歴史学、社会政策学など、社会科学に共通する基礎概念について、主要な研究動向を学び、古典的なテクストの輪読を行う。これらをつうじて資本主義、国家、社会運動の相互関係について体系的な理解を得る。

(3)近年急速に発展しているAIを補助的に活用しつつ、参加者自身のリサーチデザインを設計する。AIは今後の社会科学研究にとって不可欠なツールとなると考えられる。その一方で、利用にあたってはさまざまな課題もある(誤情報、ハルシネーション、意図しない盗用、過度な断定など)。従来の社会科学研究と新たに発展してきたAIをどのように組み合わせ、優れたリサーチデザインを設計することができるかを、議論しつつ考える。

【授業科目の到達目標】

(1)社会科学の方法論、国家、資本主義、資本主義という主要概念について、学術研究に必要な共通了解を形成する。

(2)上記の内容を踏まえ、AIを補助的に活用し、参加者と議論しつつ、優れたリサーチデザインを自分の手で設計する。

【他の授業科目との関連】

大学院の講義科目としては、共修科目「比較政治」、大学院「政治学A」などと関連があります。

【授業の内容】

1 オリエンテーション

2 社会科学の方法論(1)
 文献:G.キング、R.O.コヘイン、S.ヴァーバ『社会科学のリサーチ・デザイン』勁草書房、2004年(抜粋)

3 社会科学の方法論(2)
 文献:A. ジョージ、A. ベネット『社会科学のケース・スタディ』勁草書房、2013年(抜粋)

4 現代政治経済学の展開(1)
 文献:『福祉国家の基礎理論』序章、第1章「福祉国家の政治経済学」

5 現代政治経済学の展開(2)
 文献:エスピン=アンデルセン『福祉資本主義の三つの世界』ミネルヴァ書房、2001年、1〜2章

6 資本主義とは何か(1)
 文献:『福祉国家の基礎理論』第2章「資本主義の臨界」

7 資本主義とは何か(2)
 文献:ピーター・ホール、デヴィッド・ソスキス編『資本主義の多様性』ナカニシヤ出版、2007年、1-51頁、64-75頁

8 国家とは何か(1)
 文献:『福祉国家の基礎理論』第3章「国家とガバナンスの二重性」

9 国家とは何か(2)
 文献:ダニ・ロドリック『グローバリゼーション・パラドクス』白水社、2013年、9-11章

10 社会運動とは何か(1)
  文献:『福祉国家の基礎理論』第4章「社会運動と規範」、終章

11 社会運動とは何か(2)
  文献:S. Bornschier et al., Cleavage Formation in the 21st Century, Cambridge University Press, 2024(抜粋)

12 AIを活用したリサーチデザインの設計(1)

13 AIを活用したリサーチデザインの設計(2)

【テクスト】

輪読文献の抜粋は、manabaでPDFを配布します。現時点(2026年2月)では以下を予定しています。

G.キング、R.O.コヘイン、S.ヴァーバ『社会科学のリサーチ・デザイン』勁草書房、2004年
A. ジョージ、A. ベネット『社会科学のケース・スタディ』勁草書房、2013年
田中拓道『福祉国家の基礎理論』岩波書店、2023年
エスピン=アンデルセン『福祉資本主義の三つの世界』ミネルヴァ書房、2001年
ピーター・ホール、デヴィッド・ソスキス編『資本主義の多様性』ナカニシヤ出版、2007年
ダニ・ロドリック『グローバリゼーション・パラドクス』白水社、2013年
S. Bornschier et al., Cleavage Formation in the 21st Century, Cambridge University Press, 2024.

【授業時間外の学習】

輪読文献を前もって読み、質問や討議事項を用意してくる。報告者は文献の報告レジュメを用意する。
講義の最後に自分自身のリサーチデザインを設計し、報告する。具体的な手順は授業内で説明するが、AIを補助的に用いつつ、(1)先行研究、(2)仮説の設定、(3)検証方法、(4)論文の構成について、使用したプロンプトとあわせて報告する。

【成績評価の方法と基準】

毎回の予習と授業の討議への積極的参加 50%
輪読文献の報告 20%
リサーチデザインの報告 30%

以上の合計による絶対評価。

【受講生に対するメッセージ】

政治学を専門とする学生だけでなく、様々な専門を持つ学生が、社会科学の理論と方法、学術研究におけるAIの活用法について議論を交わせる場にしたいと考えています。