2018年度大学院ゼミナール


【研究分野・領域等】

政治学、政治理論、比較政治経済学

【ゼミの概要・運営等】

1. 概要

 この授業の目的は、修士課程・博士課程の大学院生が、政治学、政治理論、比較政治の研究に必要となる理論と方法の基礎を身につけ、自律的に研究を進められるようになることです。

2. 進め方

 毎学期を四つのセクションに区分します。およそ1セッション=1か月(3〜4回分)とします。

(1)方法論セクション
 近年、社会科学の方法に関する議論が蓄積されています。キング、コヘイン、ヴァーバ『社会科学のリサーチ・デザイン』という古典をはじめ、重要なテクストも翻訳されています。近年までの方法論を扱った日本語、英語のテクストを輪読し、いくつかの専門論文を事例として検討することで、理論仮説の設定、仮説の検証、データの扱い方、リサーチ・デザインの設定について、基礎的な考え方を共有します。

※2018年度の文献
野村康『社会科学の考え方―認識論、リサーチ・デザイン、手法』名古屋大学出版会、2017年
河野勝『政治を科学することは可能か』中央公論新社、2018年

(2)輪読セッション
 注目すべき学術書を数冊選び、全員で輪読・討議します。

※2018年度の文献
ジョン・キングダン『アジェンダ・選択肢・公共政策』勁草書房、2018年
桜井啓太『〈自立支援〉の社会保障を問う―生活保護・最低賃金・ワーキングプア』法律文化社、2017年
キティ『愛の労働あるいは依存とケアの正義論』白澤社、2010年
David Levi-Faur ed., Oxford Handbook of Governance, Oxford University Press, 2012.

(3)研究報告セッション
 個人指導(チュートリアル)を踏まえ、毎学期1回フルペーパーを用意し、各自の研究を報告していただいた後、全員で討議します。

(4)研究会セッション
 学外の研究者・大学院生に開かれた「比較福祉国家研究会」を開催し、活躍中の研究者を招聘して研究会を開催します。それに合わせて1〜2回の準備回を置き、関連する文献を全員で輪読します。

【授業外の学習】

指定された文献を読み、コメントペーパーを用意してくること。毎学期1回自分の研究テーマに関して、教員の個人指導を踏まえ、フルペーパーを作成すること。

【成績評価】

毎回の輪読と討議への参加、毎学期1回のフルペーパーの提出。

【前年度の履修者構成】

修士課程4名、博士課程3名(サブゼミ、学外者含む)。フランス福祉国家論、デモクラシー論、多文化主義、日本政治思想史、日本の福祉政策など、さまざまな関心を持つ学生が参加しています。

近の履修者の学位論文タイトル・研究テーマ等

・フランス福祉国家思想史
・フランス家族政策
・ドイツの社会カトリシズムと福祉国家の形成
・カナダ多文化主義
・田辺元の国家論
・戦後日本の障害者福祉
・フランス現代政治における右派の再編
など。