2015年度
大学院ゼミナール


【研究分野】

政治学、政治理論、比較政治経済学


【ゼミの概要】

1 目標

 政治学、比較政治、政治理論に関する代表的な文献、最近の専門書を輪読し、討議を重ねることで、分析枠組みの設定、データの扱い方、論理の運び方などに関する研究の基礎を身につけることを目指します。

2 概要

(1)修士課程の学生は、2年間で修士論文を仕上げるための技法を順を追って習得できるようにします。基礎的な学術作法に関するオリエンテーションを行い、基本書・専門書の輪読(レジュメを用いた発表と討議)を行い、定期的な研究報告を行っていただきます。

(2)博士課程の学生は、専門書に関する批判的な討議、研究動向報告、博論の中間報告を通じて、段階的に博士論文の研究を進められるようにします。

3 各学期の予定

(1)夏学期
 
 2015年度は「リベラリズムの多様性」をテーマとする予定です。
 現代の先進国では、就労や家族のあり方、ライフスタイルの多様化が進み、個人の「自由」を保障することはあらゆる政策の共通前提となっています。しかし「自由」の内実をめぐっては共通の了解が存在していません。一方では、D. ハーヴェイのように「新自由主義」への収斂を指摘する論者がおり、他方では「資本主義の多様性」論(K. Thelenなど)のように、「自由主義化」の多様性を指摘する論者たちもいます。
 さかのぼれば、K. ポラニーが『大転換』(1944年)の終章で「自由」の定義こそ来たるべき社会の帰趨を決める、と予言していました。今日の政治を分析するうえで、「新自由主義」と「リベラリズム」の違いを明確化することは、もっとも重要な理論的課題となっています。
 2015年度のゼミでは、以下のような文献を扱いつつ、今日の先進国の政治における「自由」をめぐる対立軸について考えたいと思います。抽象的な理論のみならず、できるかぎり具体的な政策論と結びつけて考察することを目指します。


(2)冬学期
 専門書や論文に関する批判的討議を行います。輪読形式ではなく、論点ペーパーをもとに内容に関して討議する形式とします。テーマは参加する学生と話し合って決めることにします。

(3)研究動向報告、中間報告
 履修者は、毎学期最低1回は研究テーマに関する動向報告(主要な先行研究の整理と批判)、中間報告(リサーチクエスチョン、仮説、資料紹介を含む)を行っていただきます。 


【前年度の履修者構成】

修士課程4名、博士課程4名(サブゼミ、学外者含む)。フランス・ドイツの政治思想、日本の政治、社会政策、社会運動論など様々な関心を持つ学生が混在しています。

【最近の履修者の研究テーマ】

・フランス福祉国家思想史
・ドイツの社会カトリシズムと福祉国家の形成
・ドイツ家族政策
・フランス現代政治における右派の再編
・戦後日本の市民社会論
・戦後日本の障害者福祉
・現代日本の環境政治
・現代デモクラシー論
・社会運動論、脱原発運動の比較論
など。

【その他】

政治学の理論と方法については、大学院講義の「政治学T」「政治学U」で扱います。合わせて受講することで、より体系的に政治学を学べると思います。