2014年度
大学院講義「政治学T」
公共政策大学院「政治学特殊講義」


1 授業の概要

【授業科目の目的】

 この授業では、「変化」をテーマとする近年の代表的な政治学の理論について検討し、具体的な事例とつき合わせながら、各々の理論の妥当性、応用可能性を探ることを目的とします。

 グローバルな相互依存の深まり、産業構造の変化などに直面する中で、先進国では経済政策、雇用政策、財政政策、社会政策などの転換を迫られています。政策の変化が進む国とそうでない国ではどのような条件が異なるのか。意思決定のプロセスはどう変わっているのか。民主主義という観点から、そこにどのような問題が見いだせるか。これらの問いを、レジーム論、制度論、政党論、リーダーシップ論、社会運動論を取りあげながら検討します。


【授業科目の到達目標】

(1)過去20年のあいだに発展してきた主要な政治学の学説を理解すること。

(2)政治学の理論を具体的な事例にあてはめ、現実の政治の動きを分析できるようになること。


【授業の方法】

  基本的な方法は、教員の概説+文献輪読+ディスカッションです。

 毎回の授業では、最初に教員が理論や学説の位置づけについて解説します。次に担当者を決め、課題文献について報告を行っていただきます。その後、文献の内容や応用可能性について、全員で討議します。

 授業は全部で5つのセクションに分かれます。各セクションでは1〜2回かけて現代政治学を代表する論者の文献を取りあげ、理論・学説を学びます。さらに1回は主に日本の事例を取り上げ、これらの理論を用いて現代日本の政治状況がどのように分析できるのかを全員で検討します。


2. 授業の内容・計画

【授業の内容】


 政治経済学、制度論、政党論、リーダーシップ論、社会運動論の5つのセクションに分け、現在の代表的な政治学の理論・学説を検討したのち、関連する事例を検討します。いま論争になっている事例を取り上げることで、学生同士による議論が行いやすいように配慮します。


【計画(回数、日付、テーマ等)】

1 政治経済学

(1)権力資源動員論(Esping-Andersen)
(2)日本型レジーム(新川敏光)
(3)事例: 日本の労使関係

2 制度と経路依存

(1)新制度論(P. Pierson)
(2)拒否権プレイヤー論(G. Tsebelis)
(3)事例: 民主党政権の失敗

3 政党

(1)カルテル政党(R. Katz, P. Mair)
(2)事例: 比例代表制か小選挙区制か

4 リーダーシップと言説政治

(1)大統領制化(T. Poguntke)
(2)言説政治(V. Schmidt)
(3)事例: 小泉政権の功罪

5 社会運動と政治

(1)比較社会運動論(H. Kitschelt)
(2)フレーミング(D. Snow)
(3)事例: 反原発運動


【テキスト・文献】

日本語もしくは英語の学術論文と文献の抜粋を用います。マスターコピーを用意しますので、各自でコピーしてください。


3. 評価

【成績評価の方法】


文献報告、討議への参加によって評価します。


【成績評価基準の内容】

 文献の内容を理解しているか、理論を具体的な事例に適用し分析できているか、他の参加者の疑問点や論点に積極的に応答しているか、新しい発想にチャレンジしているか。これらの点に応じて評価します。