2012年度
大学院ゼミナール



1 研究分野

 政治学、政治理論、比較政治経済学


2 ゼミの内容

(1) 概要

 ヨーロッパの比較政治、政治理論・政治思想(デモクラシー論、規範理論、社会民主主義論など)に関する最近の研究を輪読し、分析枠組みの設定、データの扱い方、論理の運び方などに関する討議を重ねることで、研究の基礎を身につけることを目指します。

(2) 夏学期

 夏学期は、国家―社会関係、社会運動と政党システムの変容をテーマとして専門書を輪読します。毎回報告者、司会者を決めたうえで、全員で内容について討議します。候補作は以下のとおりです。

・Herbert Kitschelt, "Linkages between Citizens and Politicians in Democratic Polities", Comparative Political Studies, no. 33, 2000, pp. 845-879.

・Herbert Kitschelt, The Transformation of European Social Democracy, Cambridge University Press, 1994.

・Flanagan, Scott C., and Aie-Rie Lee, “The New Politics, Culture Wars, and the Authoritarian-Libertarian Value Change in Advanced Industrial Democracies”, Comparative Political Studies, vol. 36, no. 3, 2003, pp. 235-70.

・Walter Korpi and Joakim Palme. 2003. “New Politics and Class Politics in the Context of Austerity and Globalization,” American Political Science Review, vol. 97, no. 3, 2003, pp. 425-446.


(3) 冬学期

 冬学期は、英独仏の福祉国家の形成史をテーマとして、最近発刊された専門書を輪読します。候補は以下のとおりです。

・ロベール・カステル『社会問題の変容―賃金労働の年代記』ナカニシヤ出版、2012年

・福沢直樹『ドイツ社会保険史―社会国家の形成と展開』名古屋大学出版会、2012年

・江里口拓『福祉国家の効率と統御―ウェッブ夫妻の経済思想』昭和堂、2008年


 4回分は、福祉国家論、国家論、資本主義論、社会規範論について教員がレクチャーを行います。参加者は各テーマに合わせた代表的な古典を読んできたうえで、レクチャーを踏まえて討議を行います。

(1)現代福祉国家論(ネオ・マルクス主義、批判理論、新政治経済学、新制度論、言説政治論)

(2)資本主義論(スミス、マルクス、デュルケーム、ウェーバー、ポラニー、20世紀資本主義、レギュラシオン)

(3)国家論(主権論、ドイツ国家学、ネオ・マルクス主義、世界システム論、ポスト・フォーディズム、ポスト構造主義)

(4)社会規範論(正統化論、ヘゲモニー論、新しい社会運動論、再帰性論、現代正義論、承認論)


(4) 個人報告

 毎学期最低1回は、修士・博士論文の研究発表、もしくは学会報告に向けた研究発表を行っていただきます。その後全員で討議します。


3 前年度の履修者構成

修士課程4名、博士課程2名(サブゼミ履修生を含む)。政治学、政治思想、社会学などさまざまな関心を持つ学生が混在しています。


4 最近の履修者の研究テーマ

 研究テーマは以下のとおりです。

・フランス現代政治における右派の再編
・日本の環境政治
・戦前期日本の社会民主主義思想
・E.H.カーの政治思想
・現代民主主義とポピュリズム


5 メモ

 現代政治学の理論と方法については、大学院講義の「政治学」で扱います。合わせて受講することで、より体系的に政治学を学べると思います。