2018年度学部「政治学」



1 授業科目の目的と概要

【概要】

 この講義では、欧米諸国の経験から発展してきた政治学の理論と概念を紹介し、それらを用いて日本と先進諸国の現状を分析します。
 日本を含め、先進諸国はグローバル化の波にさらされ、国内制度の変革を迫られています。政治のリーダーシップ強化が唱えられる一方で、既存の政治への不満が鬱積し、ポピュリズムと呼ばれる既存の政治への挑戦も生まれています。
 政治の仕組みは今どのような変化を遂げているのか。現在の変化はデモクラシーという観点からどうとらえられるか。その中で日本の政治はどう位置づけられるか。これらの問いを考えていきます。

】到達目標】

(1)日本と先進諸国の政治を学問的に分析するための基礎的な理論・概念を理解すること。

(2)制度分析、合理的選択論、規範理論など、政治学の複数のアプローチの特徴を理解し、それらを用いつつ政治を考えられるようになること。

2 他の授業科目との関連・教育課程の中での位置づけ

本講義は政治学の入門に相当します。政治学の発展科目に進むための基礎を提供します。

3 授業の内容・計画

日程 テーマと概要
11月 6日(火) @オリエンテーション、政治学とは何か
11月13日(火) A日本の政治経済体制
レジーム論を参照し、日本の特徴と現状の問題点を考える
11月16日(金) B日本政治の流れ
1994年政治改革以降の流れを概観し、政治改革の成否を考える
11月20日(火) C政党は機能しているか
選挙制度、現在の政党研究を概観し、なぜ主要国の政党が苦境に陥っているかを考える
11月27日(火) Dリーダーシップ(1)政府と議会
議院内閣制と大統領制、中核的執政、大統領制化などの諸理論から、日本と先進国の立法・行政関係を考える
11月30日(金) Eリーダーシップ(2)政官関係
官僚制比較と近年のNPM論を参照し、官僚が果たすべき役割を考える
12月 4日(火) F利益政治と市民社会
コーポラティズムと多元主義、社会関係資本論を参照し、社会集団と政治の関係を考える
12月 7日(金) Gメディアと政治
メディア・システム論、メディア研究、SNS研究を踏まえ、現代のメディアと政治の関係を考える
12月11日(火) Hグループ発表、拒否権プレイヤー論
12月14日(金) I現代政治の対立軸(1)―右と左
左右対立の変容、グローバル化にともなう新しい対立軸の浮上を学ぶ
12月18日(火) J現代政治の対立軸(2)―日本の保守とリベラル
日本での政治的対立軸の変遷、現在の不在の要因を考える
12月21日(金) Kポピュリズムとデモクラシー
右派ポピュリズムの研究動向を踏まえ、ポピュリズムがデモクラシーにもたらす影響について考える
 1月 8日(火) Lグローバル化とデモクラシー
グローバル・ガバナンスの動向、リベラル・デモクラシーの将来について考える


4 テキスト・文献

教科書を指定しない代わりに、毎回の授業の補助として、10〜20ページ程度のアサインメントを用意します。あらかじめ目を通したうえで授業に参加してください。

→ 各回の参考文献リスト

5 成績評価の方法と基準日本語

以下の三点の合計で評価します(相対評価)。

1 1200字以上の書評または3名のグループによる10分間の発表(選択、20%)
2 グループ・ディスカッションへの参加(出席票による確認、20%)
3 学期末試験(60%)

書評の書き方とリストは授業内で提示します。
学期末試験は、基礎概念の説明、論述です。