2026年度学部ゼミナール
【ゼミの研究分野】
政治学、比較政治経済学、政治理論
【授業科目の概要】
・国内政治、雇用・社会保障・教育・家族政策・財政などの政策分析、諸外国との比較、国際的な諸問題など、「政治」に関連するテーマであれば、学生の関心に応じて広く扱います。
・ゼミで重視するのは、学術的な分析の手法を身に着けることです。質的方法(事例分析、事例比較)、量的方法(統計的なデータを用いた分析)を組み合わせ、規範的な理論も参照しつつ、政治現象を客観的に、深く分析できるようになることを目指します。
・近年急速に発展してきたAIは、今後の学術研究、社会課題の解決にとって不可欠のツールになると考えられます。一方で、利用にあたってはさまざまな課題もあります(誤情報、ハルシネーション、意図しない盗用、過度な断定など)。このゼミでは、政治・社会課題の調査、政策分析と立案、学術論文の執筆において、AIをどのように活用できるかを学生と議論しつつ、実験的に模索したいと考えています。
【到達目標】
・日本を含む先進諸国の政治、グローバルな政治においてどのような課題があり、学術的にどのような議論が蓄積されているのかを広く学ぶこと。
・政治的な諸課題を分析し、解決策を探究するための理論と方法を習得し、それをプレゼンテーションや論文という形でアウトプットできるようになること。
・具体的な学術的スキルとしては以下が挙げられます。(1)専門書・学術論文の正確な読解、(2)プレゼンテーションとディスカッション、(3)情報収集と情報整理、(4)学術論文の執筆手順。補足として、(5)これらの作業においてAIを補助的に活用するための技法。
【他の授業との関連・教育課程の中での位置づけ】
政治学の各科目、社会政策などと関連があります。
【授業の内容】
・3年次春夏学期
政治学、政治経済学、政治理論の基本書を輪読し、幅広い基礎知識を習得することを目指します。教科書、新書から出発し、徐々に専門書へと進んでいきます。合わせてAIを活用したグループ・ディスカッションを組み込みます。
夏合宿は、学生から希望があれば現地のフィールドワークやインタビューを兼ねて8〜9月に行います。過去の例は北海道、沖縄、広島、大阪、福島、韓国など。
・3年次秋冬学期
専門的な学術書と英語論文を輪読します。その目的は、英語での情報収集に慣れるとともに、学術世界の最先端の議論に触れ、論文のイメージを作ることです。これらと並行して、現代政治の諸問題や政策について分析するグループワークを行います。学期末には卒論の研究テーマを絞り込みます。
・4年次
春学期は各自の研究テーマに関連する先行研究を調査し、リサーチクエスチョンの絞り込みを行います。夏学期から卒論の研究報告を行っていきます。秋冬学期は3年生も出席し、各自の研究についてディスカッションを重ねつつ、学術論文レベルの卒論を仕上げていきます。
【授業外の学修】
(1)輪読の場合は、発表者がレジュメを用意し、それ以外の参加者はA4で1枚程度のコメントペーパーをmanabaに提出します。当日は司会者がコメントペーパーをまとめ、報告とディスカッションの司会を行います。なお、毎回の読解量は日本語文献であれば1冊もしくは100〜150ページ程度の抜粋、英語文献であれば20〜30ページ程度です。
(2)グループワークの場合は、前もってグループで話し合い、合同で報告資料を作成。
(3)4年生の卒論に対してコメントを行うこともあります。
【テキスト・文献】
ゼミ参加前に読んでおくことをお勧めするのは以下の本です。
久米郁夫ほか『政治学』有斐閣、2011年
田中拓道ほか『政治経済学』有斐閣ストゥディア、2020年
輪読本は、参加者の関心に合わせて初回の授業で決定します。現時点では検討中ですが、たとえば以下のような候補を考えています。
久米郁男『原因を推論する―政治分析方法論のすすめ』有斐閣、2013年
網谷龍介ほか編『ヨーロッパのデモクラシー』ナカニシヤ出版、2014年
田中拓道『福祉政治史―格差に抗するデモクラシー』勁草書房、2017
山本圭『現代民主主義』中公新書、2021年
田所昌幸『世界秩序―グローバル化の夢と挫折』中公新書、2025年
ラリー・ダイヤモンド『侵食される民主主義―内部からの崩壊と専制国家の攻撃』勁草書房、2022年
オードリー・タン、E・グレン・ワイルほか『PLURALITY―対立を創造に変える、協働テクノロジーと民主主義の未来』ライツ社、2025年
松谷満『「右派市民」と日本政治―愛国・排外・反リベラルの論理』朝日新書、2026年
秋冬学期は英語論文を中心とした学術論文を読みます。2025年度は以下のような論文を読みました。
Gidron, N., & Hall, P. A. (2019). "Populism as a Problem of Social
Integration," Comparative Political Studies, 53(7), 1027-1059.
Burgoon, B., & Rooduijn, M. (2020). "‘Immigrationization’ of
Welfare Politics? Anti-immigration and Welfare Attitudes in Context,"
West European Politics, 44(2), 177?203.
Miller, D., "The Ethical Significance of Nationality," T. Pogge and D. Moellendorf eds., Global Justice: Seminal Essays, Paragon House, 2008, pp. 235-254.
水島治郎編『アウトサイダー・ポリティクス』岩波書店、2025年
鷲田任邦「政治的分極化はいかに民主主義を後退させるのか」『年報政治学』 2021?I号、2021年、81?104頁
【成績評価の方法と基準】
毎回のゼミでのコメントペーパー、報告、ディスカッションへの貢献から総合的に評価します(絶対評価)。
【受講生に対するメッセージ】
・対面で行いますが、オンラインでも参加可です。
・教員はフランス、カナダ、イギリスで在外研究の経験があります。海外留学をしたい方には積極的に支援します。
・将来研究職に就くことを考えている方を歓迎します。学部時代から必要な学術的トレーニングを段階的に積めるよう配慮し、学内外の進学について助言を行います。ゼミの卒業生には海外の大学院に進学した人、大学教員になった人もいます。
・過去ゼミ生の卒業論文の一部を公開していますので、参考にしてください。
http://www.soc.hit-u.ac.jp/~takujit/course-of-faculty/dissertation.html