学部ゼミナール「政治学」



1 目的

 グローバル化の進展を背景として、先進諸国の政治・社会・経済は大きな転換のただ中にあります。近年では環境問題もグローバルな政治のテーマとなっています。このゼミでは、現代政治の諸課題を広く扱いながら、それらを分析する力を養い、自分なりの意見を持てるようになることを目的とします。特に、たんなる時事的な評論ではなく原理的に思考する力を持つこと、他国との比較の視座を持つこと、の二点を重視したいと思います。


2 概要

 今年度は「政権交代と日本社会のゆくえ」を共通テーマとします。2009年に起きた政権交代を一つの手がかりとし、「統治構造」「労働」「社会保障」という三つの柱から、日本社会が抱える課題と今後の展望を考えていきたいと思います。

 まず3年次の夏学期では、共通テーマに関連する文献を輪読します。毎回報告者・報告グループを決め、それ以外の参加者は課題文献にたいするコメントを用意し、内容についてディスカッションを行います。ゼミの利点を生かせるよう、二つの立場に分かれてのディスカッションなども取り入れたいと思います。

 次に3年次の冬学期では、各自が探求したい課題を自由に選択し、研究報告を行います。研究課題は必ずしも共通テーマに縛られる必要はありません。それと並行して、受講者の関心と合致する研究書・論文を輪読していきます。

 3年次の終わりには簡単な小論文を作成し、4年次の卒業研究につなげます。


3 テキスト

 今のところ下記の文献を考えていますが、詳細は開講時にリストを提示し、受講者と相談のうえで決定します。

T フレームワーク
   新川敏光ほか『比較政治経済学』有斐閣アルマ、2004年
   飯尾潤『日本の統治構造―官僚内閣制から議院内閣制へ』中公新書、2007年
   宮本太郎『福祉政治―日本の生活保障とデモクラシー』有斐閣、2008年、1〜2章

U 日本の政権交代
   山口二郎『戦後政治の崩壊―デモクラシーはどこへゆくのか』岩波新書、2004年
   菅直人『大臣 増補版』岩波新書、2010年
   宮本太郎『福祉政治』3〜6章
   濱口桂一郎『新しい労働社会―雇用システムの再構築へ』岩波新書、2009年
   孫崎享『日米同盟の正体―迷走する安全保障』講談社現代新書、2009年

V 諸外国との比較
   高橋進、安井宏樹編『政権交代と民主主義』東京大学出版会、2008年
   アンソニー・ギデンズ『日本の新たな「第三の道」』NTT出版、2009年、3〜4章
   エスピン・アンデルセン『アンデルセン、福祉を語る』NTT出版、2008年


4 選考の方法

 志望理由書と面接によります。志望理由書は、これまで学んできたこととゼミの志望理由をまとめ(A4一枚、1000字程度)、面接前日までに教員のメールアドレス宛てにお送りください。