学部「社会研究入門ゼミ」



1 題目  現代政治学入門


2 概要

 このゼミでは、学術論文を読解し、内容を報告し、自分の意見をまとめる、という基礎的な学問的作業に習熟することを目指す。まず現代を代表する社会科学者の平易な論文を輪読し、討議する。主なテーマは、日本政治、ナショナリズム、ポスト工業化、グローバル化、福祉国家、市民社会、20世紀論など。全体をつうじて、現代政治学の代表的な論点をひと通り理解できるように配慮したい。さらに各自が関心のあるテーマを選択し、学期末までに小論文を作成する。


3 到達目標

 到達目標は以下のとおりである。
(1)新書レベルの本の内容を正確に理解し、報告できるようになること。
(2)今日の社会科学の代表的な論点を知ること。
(3)学術的な小論文の作成法を知ること。


4 授業内容

 毎回報告者を決め、以下の論文を報告・討議する。講義3回分は小論文の報告と個別指導に充てる。

1〜2 現代社会の諸問題
   見田宗介『現代社会の理論』岩波新書、1996年

3〜4 日本社会の諸問題
   宮本太郎『生活保障』有斐閣、2009年、40-69頁、120-217頁

5 ナショナリズム
   大澤真幸、姜尚中『ナショナリズム論・入門』有斐閣アルマ、2009年、1-31頁

6 市民社会の変容
   パットナム『孤独なボーリング―米国コミュニティの崩壊と再生』柏書房、2006年、
   106-133頁、221-228頁、338-347頁、497-513頁

7 20世紀とは何か
   ホブズボーム『20世紀の歴史―極端な時代』三省堂、1996年、20-28頁、403-445頁

8 グローバル化
   スティグリッツ『スティグリッツ早稲田大学講義録』光文社新書、2004年、18-100頁

9 ヨーロッパの新潮流
   ギデンズ「グローバル時代の仕事と政府の政策」ギデンズほか『グローバル時代の
   人的資源論』東京大学出版会、2008年、219-260頁

10 福祉国家
   エスピン・アンデルセン『転換期の福祉国家』早稲田大学出版部、2003年、10-32頁、
   39-44頁

11 日本政治
   野中尚人『自民党政治の終わり』ちくま新書、2008年、198-244頁

12〜14 小論文指導


5 テキスト

担当教員がマスターコピーを用意する。


6 成績評価

報告と討議への参加(60%)、小論文(40%)の合計によって評価する。
基準は以下のとおり。
  A 文献の内容を正確に理解し、討議をつうじて全体の水準を引き上げた。
    学術的作法に沿い、独自の調査と新しい発見を含んだ小論文を提出した。
  B 文献の内容を正確に理解し、討議をつうじて全体の水準を引き上げた。
    学術的作法に沿い、独自の調査を含んだ小論文を提出した。
  C 文献の内容をおよそ理解し、全体の討議に参加した。学術的作法に沿った
    小論文を提出した。