2008年度
法政演習(政治学)


1 目的

 このゼミの目的は、幅広い教養にもとづく政治・社会現象への分析能力を身につけることである(図1)。


                 図1 ゼミの目的概念図

               


      @幅広い知的関心を持つこと。(日々のニュース、社会問題に敏感になる)

      A現代社会にかんする基礎教養、社会科学の基礎理論を幅広く身につけること。
        (就職試験レベルの時事知識、政治学の教科書・小辞典レベルの基礎知識、公務員
        試験レベルの経済学・社会学の知識)

      B現代の政治現象を理論的に分析し、判断する専門能力を養うこと。
        (専門論文の読解、学術的作法に則ったテーマ選択と小論文執筆)

      C自らの分析を論理的に表現する能力を習得すること。(口頭でのプレゼンテーション、
        Word, Excel, Power Pointなどを用いた資料作成)


2 進め方

 学問技法、基礎知識、専門研究の三つを並行して学習する(図2)。


         図2 ゼミの進め方チャート図

       


   4月〜6月

    a. 学術書の読み方、レジュメ作成法、報告・討議の仕方

       ・新書・教科書レベルのテクストを読みながら、本の読み方とレジュメの作り方、
        報告・討議の基礎的技法を身につける。

    b. 現代社会にかんする幅広い基礎教養、社会科学の基礎理論

       ・以下のテクストを用い、キーワードを中心に学習する。

          久米郁夫、川出良枝ほか『政治学』有斐閣、2003年
          石川真澄『戦後政治史新版』岩波新書、2004年
          『朝日キーワード』朝日新聞社
          『時事ニュースワード』時事通信社
          『現代政治学小辞典』有斐閣、1999年
          川崎修、杉田敦編『現代政治理論』有斐閣アルマ、2006年
          高校時代の世界史の教科書、もしくはそれに準ずる参考書

   7月

     c. 専門的な学術論文の輪読・討議

       ・各自の関心にあわせ、専門的な学術論文を輪読し、討議する。

     d. 文献調査、レポートの作成法

       ・以下の技法を身につける。

          文献・雑誌論文の検索(インターネット、図書館、参考書)
          テーマの設定
          データベースの作成
          アウトラインの作成

       ・以下の文献のうち一冊を手元に置いて常時参照すること。

          澤田昭夫『論文の書き方』講談社学術文庫
          小笠原喜康『大学生のためのレポート・論文術』講談社現代新書
          木下是雄『レポートの組み立て方』ちくま学芸文庫

   9月〜12月

     e. 個人の研究発表

       ・個人研究では、以下の研究テーマ郡から一つを選択する。

 (1)政治理論・公共哲学
    ・リベラリズム論(公正、新自由主義、国家と市場、リバタリアニズム)
    ・デモクラシー論(民主主義の過剰、討議民主主義、ラディカル・デモクラシー)
    ・シティズンシップ、多文化主義
 (2)グローバルな諸問題
    ・南北問題と貧困、開発
    ・国際環境政治
    ・グローバル・ガバナンス
    ・国民国家の変容(EU、地域統合、移民問題)
 (3)帝国と戦争
    ・アメリカと帝国論
    ・21世紀の戦争(テロ戦争、資源戦争、文明の衝突論)
 (4)福祉国家の変容
    ・各国比較
    ・日本の将来像(年金、医療、若者への対策)
    ・新しい取り組み(基礎所得、就労支援、高齢化への取り組み)
 (5)新しい政治の担い手
    ・フェミニズム
    ・NGO、第三セクター
    ・地方分権
 (6)情報化と政治の変容
    ・メディア政治
    ・情報戦
    ・監視社会
 (7)日本の政治
    ・統治構造の変容(政官関係、行財政改革)
    ・政界再編(55年体制の崩壊、自民党の変質、新しい対立軸、改憲論)
    ・外交政策(日米安保再定義、アジア安全保障、ODA、国連中心主義)
 (8)地域政治
    ・欧米の現代政治、政治史
    ・発展途上国の政治

       ・専門論文の輪読、個人の研究発表を組み合わせる。

    1月

     f. 学期末までにゼミ論を作成

       ・ゼミ論は、(1)問題設定、(2)先行研究の整理、(3)特定のテーマにかんする資料調査、
        (4)社会科学的理論に基づく分析、を含むものとする。

       ・次年度での卒論の足がかりとする。