オックスフォード在外研究準備(2019年9月までの情報)

在外研究の準備に必要な情報をメモ書き程度に列挙する。

1 受け入れ教員の選択

・2019年9月の在外研究の1年半前、つまり2018年3月ごろから準備。知人や知人の紹介の中から探したが、めぼしい人が見つからず。最終的に今の研究関心に近い研究者に直接コンタクトを取り、履歴書・研究計画書を送付。2018年7月に直接オックスフォードに出向いて面談。A4で4〜5枚の研究計画書を示し、1時間半ほど面談した結果、Academic Visitorとしての受け入れを許可された。資金の出どころを詳しく聞かれた。大学の給与証明だけでなく、何らかの研究助成を取っていることが重要と思われる。
・2018年9月ごろに必要書類を送付。学期ごとに申請書の締め切り期日が決まっている。書類は以下のとおり。
a. 申請書(Academic Visitor Programme Application Form 2018-19)。ここで研究助成等の証明書も添付。
b. 研究計画書
c. オックスフォード大の常勤教員によるサポートレター
d. 履歴書(CV)
e. 自分の所属機関からの在外研究許可書
・以上の書類をもとに審査される。受け入れ教員が決まっていれば落とされることはない。ただし、実際に決定するまで5か月もかかった。2019年2月ごろにinvitation letterがメールで送付されてくる。あわせてビザ関係書類。これらがなければ、ビザの申請ができない。

2 イギリスビザの取得

・ビザの申請は滞在3か月前からであることに注意。ネットでは、書類は申請日から1か月前までの日付でなければならないという記述も見られるが、invitation letterなどはその必要はなかった。自分の場合はトロントに滞在していたため、トロントのVFS Globalでビザを申請。
・ビザの種類や必要書類は毎年変更される。2019年度にはかつてあったAcademic Visitorの枠がなくなっており、6カ月から12カ月までのStandard Visitor Visaに申請。
・必要書類は以下の通り。2018年よりオリジナルではなくコピーでよくなった。
a. パスポート
b. 受入機関のinvitation letter(研究目的、日程が明記されたレターヘッド付きの手紙)
c. 所属機関の在外研究許可書(研究目的、日程が明記されたレターヘッド付きの手紙)
d. 収入証明(大学からの給与証明、ポンドでの概算、その他研究助成の証明書など)
e 銀行の預金証明(Bank statement)
f. 現在の住所証明(カナダでのアパートの契約書を提出)
g. 行きと帰りの航空券の証明書
・その他日本での住民票と法定翻訳も用意したが、不要だった。
・ビザの申請は、イギリス政府のサイトで行い、まず大量の必要事項を記入する。ここで過去10年の渡航歴や犯罪歴なども記入。記入が終わると必要書類の一覧を示したチェックリストがダウンロードできる。
・サイト上では必要書類のPDFをアップロードして、ネットだけで提出できる仕組みがあるように見えるが、何度試してもうまく行かなかった。おそらくシステム上の問題があり、直接ビザセンターでチェックリストと必要書類のコピーを持参しなければならないと思われる。
・自分の場合、530ポンドを支払ってexpressで申請。VFS Globalの狭苦しい部屋で30分ほど待ち、必要書類を係員にチェックされる。この場でバイオメトリクス(生体認証)の登録も行う。書類受理後、3日ほどでビザが発行された。
・バイオメトリクスの登録証(BRP card)は、イギリスに到着後、指定された最寄りの郵便局に10日以内に取りにいかなければならない。このカードが在留許可書となる。また銀行口座を開くときにも必要になる。

3 オックスフォードの住宅事情

・ロンドン、パリなどの大都市と同様、オックスフォードは世界中から学生や研究者が集まるため、供給過少で家探しが厳しい。学生はカレッジに所属するのが最善だと思う。ポスドクや在外研究者の場合、多くは自分で家探しをすることになる。
・知られていない点として、オックスフォードの賃貸は12カ月以上が原則であること、自転車天国であることがある。それぞれ付言する。
・大家(landlord)と不動産屋が借り手を選別する。住宅市場が動くのは、学期代わりの7〜9月。自分の場合8月頭にオックスフォードで家探しを行ったが、7カ月間の滞在だったため、オックスフォード大で「業界団体のメンバー」と紹介された11の不動産屋(Breckon & Breckon, Carter Jonas, Finders Keepers, Scott Fraser, Penny & Sinclair, College and County, Thomas Merrifield Lettings, James C Penny, Martin & Co, NOPS Student Letting, Premier Lettings)のうち、実際に相手にされたのは1社だけだった。あとで分かったことだが、8月の段階では短期滞在を受け入れる大家はいない。住宅市場が閉まる9月半ば以降になると、売れ残ったアパートを値下げをしたり、短期契約に応じたりする。したがって、1年滞在する場合には8月くらいに来てアパート探しをするといい物件を早く見つけられる可能性がある。それより短い場合は、9月以降に家探しをした方が交渉しやすいと思う。
・オックスフォードの主要道路は自転車道が整備されている。自転車は、中古であれば100ポンドくらいで手に入る。自転車があれば2〜3マイル程度の距離は通勤できる。City Centreに近づくほど家賃が高くなり、部屋が狭くなる。離れるほど家賃が安く、広い部屋が手に入りやすくなる。家探しの段階ではなかなか距離感がつかみにくいが、Summertown, Headington, Botleyあたりは十分通勤圏内。
・オックスフォード大によれば、家賃の目安は以下のとおり。ワンルーム625-1395ポンド、1ベッドルーム700-1666ポンド、2ベッドルーム950-2250ポンド、3ベッドルーム1050-2925ポンド。東京都心並みに高い。
・契約に必要な書類は以下のとおり。一つでも欠ければ契約できない。
a. パスポートとUKビザ
b. 現住所を確認できる書類(契約書、公共料金の請求書など)
c. 所得証明(大学からの給与証明など)、貯蓄証明(bank statementなど)
d. 前大家からの紹介状(reference)
・日本にない書類として、前大家からの紹介状がある(家賃の滞納がないか、近隣と問題を起こさなかったか、などを証明する書類)。自分の場合カナダの大家に直接書いてメールで送ってもらった。日本から来る場合、英文のreferenceをあらかじめ用意するなどしておかないと、契約にこぎつけられず困ってしまうと思う。
・イギリスに居住していない場合、家賃は一括での支払いを求められる。デポジットと合わせ、100万〜200万の単位を不動産屋の銀行口座に振り込まなければならない。このお金の算段をあらかじめつけておく必要がある。自分の場合は、プレスティアで海外送金の口座に登録し、オンラインで海外送金を行った。注意点として、プレスティアではマイナンバー登録があらかじめ必要であること、トークンを使わないと海外の口座を登録できないこと、口座登録と海外送金で1週間程度はかかることがある。Transferwiseなどを使う手もあるが、この場合もマイナンバー登録が必要であるほか、日本での住所確認のため自宅住所に送られてくるアクティベーションコードを登録しなければならない。いずれにせよ、日本にいる時から送金の算段をつけておかなければ、現地に来てから大きなお金を振り込むことはできない。
・オックスフォードの不動産屋は、必要書類がそろい、家賃が一括して振り込まれるまで、鍵を貸し出さない。たとえば1か月分の家賃を前払いするだけではアパートに入れないので注意が必要である。