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工具書案内

Last-modified: 2013-02-20 (水) 17:49:54 2661日前

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漢文・中文史料(明清~近代)読解のための工具書簡介'

辞典

1-1 日本語

  • 常に手元に置いておくべき辞書

    『角川新字源』(小川環樹・西田太一郎・赤塚忠篇、角川書店、改訂版版、1994年)は漢字の意味、読み、最も基本的な熟語を調べる上で必要不可欠である。また、中国語の発音も掲載されているので、2-1-2で紹介する中国語の辞書を使用する際にも便利である。音訓索引と総画索引によって検索する。

  • 最も基本となる辞書

    『大漢和辞典』全13巻(諸橋轍次著、大修館書店、1957~60年、俗称“大漢和”)は、日本で現存する漢和辞典の中では、収録されている親字数・熟語数ともに群を抜いており、漢和辞典の総本山ともいうべき存在である。したがって、漢文史料読解に際しては、とりあえず“大漢和”にあたってみることから始まる。検索方法は別冊の索引から総画、字音、字訓、四角号碼、部首索引の五種類から選択することができる。字音・字訓が判明している場合は便利であるが、そうでない場合少々不便でも部首索引を利用し、その部首の字が収録されている巻の総画をみる方法になる。四角号碼は民国期に考案された漢字分類・検索方法で、漢字の四偶の形から判断する。覚えてしまえば便利な方法であるが、日本人にとっては馴染みのない方法である。また、『大漢和辞典語彙索引』(東洋学術研究所編、大修館書店、1990年)は“大漢和”に修められた熟語の索引で極めて便利である。
    ところで、“大漢和”は儒学者によって編纂されたため、収録された語彙に偏りがあることも事実である。経学や古典に関係する語句は比較的豊富に収録しているものの、それ以外の分野――本授業との関連で言えば、近世・近代の歴史・文学の分野――の語句に関しては必ずしも充実しているとは言い難い。“大漢和”の限界をカバーするにはどのような辞書を用いればよいのか。

  • 中国語辞書を利用する

    近世・近代の漢文を読む上で役に立つのが、現代中国語の辞書であり、『中日大辞典』(愛知大学中日大辞典編纂処編、大修館書店、1986年増訂版)はその代表的なものである。戦前上海にあった東亜同文書院によって始められた辞書編纂の材料は、数奇な運命を経て東亜同文書院の後継である愛知大学に変換され、本書が編纂された。古典小説や公文書などの語彙を数多く拾っており、極めて便利である。ただし、中国語の発音でひかなければならない。『中国語大辞典』上・下(大東文化大学中国語大辞典編纂室編、角川書店、1994年)も『中日大辞典』と同様の性質を有する辞書であり、圧倒的な収録語彙数を誇る。

*『中日大辞典』Chinese Writer 9(高電社)や多くの電子辞書に収録されており、これらは携帯にも便利である。

  • その他

    近世・近代の語彙については、戦前から戦後直後にかけての古い辞書が清末から民国期の語彙を多く拾っていて便利である。このような辞書に『中国語新辞典』(井上翠編、江南書院、1954年)、『最新支那語大辞典』(石山福治編、第一書房、1935年)が挙げられる。前者はウェード式による配列法がとられているので、語彙を探すには『中日大辞典』に附されているピンインとの対照表を参照する必要がある。

1-2 中国語

  • 中国の“大漢和”

    基礎的な中国語の能力が必要になるが、中国・台湾で編纂された辞書は圧倒的に有用である。中国の“大漢和”ともいえる存在なのが、『漢語大詞典』全10巻附索引1巻(漢語大詞典出版社、1994年)である。明清~近代にかけての俗文学の語彙を豊富に収録しており、近世・近代漢文を読む際には不可欠の辞書である。語彙索引に『多効能漢語大詞典索引』(漢語大詞典出版社、1997年)があり、逆引きによる検索もできる。なお、当該辞書には電子版が販売されており、最新版は『漢語大詞典(光碟繁体単機3.0版)』(商務印書館(香港)有限公司、2007年)である。最新版は日本語Windows上で直接使用でき便利であるが、ディスクイメージを作成してノートパソコン上で使用する方法が使えない。一代前の2.0版ではディスクイメージの作成は可能であるが、日本語Windows上で直接使用することはできないので、Microsoft Applocale(無料)をインストールした上で使用する必要がある。

  • 『辞源』と『辞海』

    “大漢和”などに参照された中国の古語辞典も有用である。その双璧が『辞源』正続合訂本(陸爾奎・方毅等編、台湾商務印書館、1950年)、『辞海』正続合訂本(舒新城編、中華書局(上海)1947年)である。前者は収録語彙の豊富さに、後者は収録語彙範囲の広さに優れており、それぞれ補完的に用いられるべきである。多くの改訂版が出されているので、最新版を調査して入手する必要がある。

  • 専門的な辞書

    特殊な語彙、特に当時流行していた俗語や方言などは上述した辞書では検索できない場合がある。その時には俗文学や演劇、言語学など文学系の研究者によって編まれた辞書が役に立つ。類書は多く出版されてきたが、日本で出版されたものでは、『俗語典附上海俗語大辞典』(汲古書院、1970年)や『明清俗語辞書集成』正編3冊続編2冊(汲古書院、1974~78年)があり、利用しやすい。後者には『明清俗語辞書集成総索引』があり、検索の便に供している。
    *要調査:許少鋒編『近代漢語大詞典』上・下(中華書局、2008年)。

2 その他辞書

2-1 歴史全般

歴史上の事件や人物・地名、代表的な史料などを調べる日本語の工具書のうち、筆頭にあげられるのが、『アジア歴史事典』全10巻(平凡社、1959~63年)である。編纂されてからかなりの時間がたっており、編纂後の現代史については他の工具書を参照する必要がある。同様の辞典に、『縮刷東洋歴史大辞典』復刻版全3冊(臨川書店、1986年)がある。戦前のものであるので文体がかたいことと、編纂時期が相当古いことをのぞけば現在でもなお有用である。中国語のものであれば、『中国大百科全書』中国歴史縮印本(中国百科全書出版社、1997年)があげられる。同書にはDVD版もでているので、検索・携帯にも便利である。

中型~コンパクトサイズの工具書の代表的なものとして、『新編東洋史辞典』(京大東洋史辞典編纂委員会編、東京創元社、1980年)、『世界史小辞典』改訂版(山川出版社、2003年)がある。前者は東洋史に特化したものであり、後者は大学受験の用語集を充実させたような位置づけである。いずれも、本棚に常備しておき調べるにはよいが、収録項目数が必ずしも十分でなく、むしろ既知の事項を確認するのに利用するのが現実的である。中国現代史の最新情報については、『岩波現代中国辞典』(岩波書店、1999年)を参照。

2-2史料解題

史料の読解には、史料が書かれた(編纂された)背景・意図と史料の作者について知っておくことが大いに助けとなる。史料解題に関する工具書には、上述の『アジア歴史事典』『縮刷東洋歴史大辞典』に加えて、史料解題の専著である『中国史籍解題辞典』(神田信夫・山根幸夫編、燎原書店、1989年)や、『中国史研究入門』上・下増補版(山川出版社、1991年)の該当部分をみるとよい。

2-3特定事項を調べる工具書

人名を調べる工具書は多い。一通り列挙すると、『世界史のための人名辞典』(水村男、山川出版社、1991年)、『コンサイス外国人名辞典』第三版(三省堂、1999年)、『岩波=ケンブリッジ世界人名辞典』(岩波書店、1997年)がある。近代の人物では、『近代中国人名辞典』(山田辰雄編、霞山会、1995年)が便利である。ある程度著名な人物であればこれらの辞典によって経歴をしることができるが、それほど有名ではない人物を追跡するのは意外に困難である。その場合、中国語の工具書に頼らざるを得ない。先ず挙げられるのが『中国人名大辞典』(方賓観等編、商務印書館、1921年)である。さらに詳しく調べるとなると、時代別に編纂されたものを調べる必要がある。近現代を通しては、『中国人名大詞典』当代人物巻(上海辞書出版社、1992年)、民国期については『民国名人伝記辞典』4冊(中華書局、1979年)、清代については、『三十三種清代伝記綜合引得』(杜聯喆・房兆楹編、燕京大学図書館引得編纂処、1932年)、『清代伝記叢刊』(周駿富輯、台北明文書局、1985年)をそれぞれ参照するとよい。これらでも見あたらない人物については各地の地方志を調べるしかない(→2-4)。

地名の沿革については、『中国古今地名大辞典』(臧勵龢等編、商務印書館、1931年)がスタンダードである。比較的コンパクトなものには、『辞海』地理分冊(歴史地理)(上海辞書出版社、1982年)、『中国歴史地名辞典』(江西教育出版社、1986年)がある。邦文では、『精選中国地名辞典』(劉鈞仁編、塩英哲編訳、凌雲出版、1983年)がある。歴史地図は、『中国歴史地図』全八冊(譚其驤編、地図出版社、1982~87年)があり、電子版も頒布されている。

2―4 地方志等

ローカルな人物や地名を調べる場合は地方志にあたってみるという方法もある。例えば人物の場合、出身県が判明しいている場合、該当県の地方志の人物伝にあたってみるとよい。→地方誌の目録

近現代の人物については、旧地方志では時代をカバーしてない時が多いので、1980年代に入って編纂が開始された新編地方志(市志・県志・郷鎮志)を利用するとよい。新編地方志は東洋文庫、早稲田大学、明治大学の図書館において多く収集されている。上海の新編地方志については、「上海地方志办公室」(http://www.shtong.gov.cn/)というウェブページから直接全文検索ができる。他の地域の地方志についても最近デジタルアーカイブ化が急速に進展しているので(愛如生公司http://www.er07.com/index.jsp)、今後多くの地方志の全文データにアクセスできるようになるであろう。

上述以外にも研究領域に即した工具書は枚挙にいとまがない。それらをすべて把握しておくのは極めて困難であるので、レファレンス事典や研究入門を適宜参照して必要な工具書にたどり着くようにするとよい。先にあげた『中国史研究入門』以外に、『中国研究文献案内』(市古宙三・J・K・フェアバンク編、東京大学出版会、1974年)、『近代中国研究入門』(衛藤瀋吉編、東京大学出版会)所収の「研究のための工具書」、『中国近代史史料指引(1500-1912)』(張玉法・洪健栄、新文豐出版、2005年)などを参考にするとよい。

史料によっては歴史学の範囲にとどまらず、中国学の他の領域における工具書を利用する必要性がでてくる。『中国学レファレンス事典』(潘樹広編著・松岡栄志編訳、凱風社、1988年)は中国学全般にわたる工具書を解説したものである。なお、歴史学全般について調べる工具書に『歴史学事典』(弘文堂、1994年~)もある。

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