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ファッション

Jプレスやカルヴァンクラインならまだいけるが、バナナリパブリックになると少し危ないし、Jクルーでは完全にアウト。経営状態ではなく、年齢の話である。ファッションは残酷だ。

年齢相応のファッションがあると信じてきたし、確かにそれは間違っていない。けれども予期しなかった伏兵に悩まされている。私自身の目である。たとえば最近のYシャツだが、襟のアングルが妙に下品にみえる。ネクタイの太くてきりりとした結び目と合わせると、恥ずかしくてみていられない。きっと、私がおかしいのだろう。

慰めがなくはない。十数年の時を経て、カバンがようやく「形」を取り戻しつつある。置くと立つ。この当たり前の機能を備えたカバンに、少しでも多く世に出てきて欲しい。

とはいえ、一度身につけた「趣味」を消すことは難しい。柄物に柄物を合わせるのはいまだに苦手だし、キャミソールやインナーものを目にするときの違和感も、完全に払拭しきれていない。三十男のスーツをみて妙にカッコいいと思った翌朝、『北北西へ進路を取れ』のケーリー・グラントにダブらせていたんだと気がつく。

救いようがない、と自分の「趣味」を笑うほどに最悪なことはない。このまま終わるのか? 否。なんせ、ファッションなのだから。