企画実践力強化部門概要
最終変更日時
2009年07月14日 13時34分
4.3.0 企画実践力強化部門、若手研究者研究活動助成の趣旨
研究費獲得をめぐっては、日本でも申請文化、審査文化、評価文化が少しずつ根づいてきました。研究者には楽なことではありませんが、このような「文化」を十分に身につけ積極的な利用を図ることは、世界的にみても研究者の必須能力になっています。そこで、本プログラムは、本研究科博士後期課程・修士課程の院生(休学者を除く)が自立的に計画するワークショップ(研究集会の企画運営)、フィールドワーク(国内、国外現地調査)、サーベイ・リサーチ(調査票による量的調査)、海外インターンシップ(海外NGO等で行う短期研修)、プレゼンテーション・アブロード(海外研究集会での外国語発表)に対し、若手研究者研究活動助成を競争的形態で行います。応募有資格者は、以下の諸項目や各募集要項、注意事項等を熟読してこの競争的資金にふるって応募し、研究を充実させてください。
4.3.0.1 本部門の目的
- 博士学位論文・修士学位論文作成に必要な資料収集、調査研究に対する一定の資金的援助
- 将来、研究者・高度職業人として必要になる競争的外部資金・事業予算等申請のための書類作りトレーニング
- 研究計画を共同して立案運営するグループを組織し、責任総括や役割分担を行う経験の蓄積
- 適切に計画を実施して報告書を作成するトレーニング
- 社会通念を基盤とする、助成審査委員会、事務室等との適切なコミュニケーション能力の涵養
4.3.0.2 申請書(計画書)の作成・選考、計画の実施、実施報告書の作成・成績評価
【申請書の作成・選考】
(1)選考方法
競争的研究資金等の募集及び審査過程では、広報性、平等性、公正性、公平性、公開性などが要求されます。たとえば公的資金である科学研究費補助金(文部科学省、日本学術振興会)もこれらを前提としており、選考にあたっては研究者のピアレビューによる審査が行われています。これは、科学研究費補助金への申請件数が毎年きわめて多数であること(平成18年度は約133,000件)、審査を委嘱しうる研究者が多数存在していること、ペナルティを含む利益相反の原則(利害関係・利益誘導の排除)が遵守されていること、などが前提になっています。本助成では、応募者が提出した申請書を、キャリアデザイン推進室委員会内に設置される審査委員会が審査し、採択者の選考を行います。審査委員会は8名程度の教員で構成されます。本助成では、研究科内公募であること、採用件数が限られていること、審査委員会の規模が小さいことなどから、利益相反が基本ではあるものの、完全なピアレビュー方式を採用することができません。そのため、中小規模の財団等への申請の場合と同様、申請書は必ずしも専門を同じくするわけではない審査委員を説得できる形式と内容をもつことが必要になります。申請者はこの点に留意して書類を作成してください。
(2)選考の指針
科学研究費補助金への申請研究計画の審査においては、下記諸項目が重視されます。本プログラムの助成申請審査でも、将来にむけたトレーニングの意味も込めて、同様の観点を基本とします。すべてを網羅する必要はなく、また別の視点を主張する調査計画でも結構ですが、説得力ある計画書作成という観点から、申請者は下記諸点には十分に留意してください。1.研究課題の学術的重要性・妥当性
- 研究構想や研究目的、研究上の意義が具体的かつ明確に示されているか
- 学術的重要性や妥当性は何か
2. 研究計画・方法の妥当性
- 研究目的を達成するため、研究計画は十分練られたものになっているか
- 研究計画を遂行する上で、当初計画どおりに進まないときの対応など、多方面からの検討状況は考慮されているか
3.研究課題の独創性及び革新性
- 研究対象、研究手法やもたらされる研究成果等について、独創性や革新性、先駆性が認められるか
- 意外性のある着想にもとづいているか
4.研究課題の波及効果及び普遍性
- 当該研究分野もしくは関連研究分野の進展に対する大きな貢献、新しい学問分野の開拓等、学術的な波及効果が期待できるか
- 科学技術、産業、文化など、幅広い意味で社会に与えるインパクト、貢献が期待できるか
5.適切性
- 相手方の同意や協力、社会的コンセンサスを必要とする研究計画、または法令等に基づく手続きが必要な研究計画については、所要の手続き、対策が講じられているか
【計画の実施】
(1)履修登録
審査委員会によって計画が採択された場合、指定の科目に履修登録が必要になります。履修登録せずに企画実践の計画を実施することはできません。平成21年5月19日(火)までに履修登録がなされない場合、採択は取り消されます。また当然のことながら、授業として履修することから計画の実施と実施報告書に基づき、成績評価と単位の認定が行われます。計画の実施が夏学期の締め切りを過ぎる場合は、冬学期に履修登録が必要になります。基本的に、平成21年7月31日(金)までに計画が終了する場合には夏学期履修科目、平成22年1月31日(日)までに活動が終了する場合は冬学期履修科目となります。活動が7月から9月に及ぶ場合は冬学期の科目として履修登録してください。尚、ワークショップは活動日程にかかわらず通年科目として履修登録を行ってください。(2)計画実施の重要性
計画を採択された院生は、言うまでもなく自己の研究活動の一環として、申請書に沿って計画を実施しますが、同時に本助成は通常の授業科目と異なり、文部科学省平成21年度研究拠点形成費等補助金(若手研究者養成費)等によって運営されるものです。したがって申請が採択され資金助成を得たが計画を実行しない事態などが起こってはなりません。この点を十分自覚したうえで計画を立て、申請してください。(3)変更願
採択決定後の計画変更は、原則としてこれを認めません。採択決定後やむを得ない事情により計画に変更の必要が生じた場合は、申請者は計画実施開始日の3週間前までに審査委員会に変更願を提出し、その承認を受けてください。【実績報告書の作成・成績評価】
本助成では、計画実施後に実績報告書の提出が義務づけられています。その内容をもとに、本プログラムのねらいとの適合性、活動の適切性、報告書自体の明晰性・整合性等を基準に、プログラム担当者が最終的な成績評価を行います。平成21年度の本助成では、夏学期履修の科目については、活動終了から1ヶ月目ないし平成21年8月3日(月)のどちらか早い日付までに、通年および冬学期履修の科目については、活動終了から1ヶ月目ないし平成22年2月5日(金)のどちらか早い日付までに、報告書等必要書類一式を研究科事務室まで提出することが求められています。そのためには、ワークショップ、フィールドワーク、サーベイ・リサーチ、インターンシップ、プレゼンテーション・アブロードのいずれにあっても、夏学期履修の科目は平成21年7月31日(金)までに、通年科目および冬学期履修科目については平成22年1月31日(日)までに活動を終了させる必要があります。
報告書のくわしい内容については、「キャリアデザインの場としての大学院」プログラムのウェブサイトをご覧ください。