木村 元(きむら・はじめ) 教授(2023年4月より名誉教授)
◆自己紹介
東京大学大学院教育学研究科で教育学(教育史・哲学)を専攻。1994年に一橋大学に着任。教育の事実は地域(文化)性をもちながら、現代も含めてその歴史的な現れ方の一つとして存在しています。極端な場合教えるということが否定される現れ方もします。それぞれの時代や地域において教育がどのような性格をもってきたか。またどのように捉えられてき、そしているか。教育の事実を様々な層(教育の実践や理論)において解明を捉え、その性格を描き出す研究をおこなってきました。このところでは(2011年以降)、日本の教育学の展開(『戦時下学問の統制と動員』東大出版会)、高度成長期の青年の社会的自立の諸相(『青年の社会的自立と教育』大月書店)、日本の学校定着(『日本の学校受容』勁草書房)を明らかにする中でアプローチを行ってきました。
◆主な研究領域
教育学・教育史
◆代表的な図書・論文
- 『学校の戦後史』 岩波書店、2015
- 『日本の学校受容』(編著) 勁草書房、2012
- 『教育学をつかむ』(共著) 有斐閣、2009
- 『人口と教育の動態史』(編著) 多賀出版、2005
◆学部の主要担当科目
「教育の歴史」「教育研究法」「教育課程編成論」
◆大学院の主要担当科目
「教育の社会史」「教育の研究方法論」
◆研究プロジェクト紹介
(1)地域・コミュニティと教育
ゼミ共同研究として戦後の学校と地域・コミュニティとの関係把握の見なおしの作業を行っている。2011年から出発し、基礎的な文献の検討を行っている。
(2)近代日本の人間形成と学校
拡大ゼミとして他大学の研究者も含めて近代日本の人間形成について検討を行っている。近代の人間形成の洗い直しの作業。2012年度から、クレス出版より資料集「シリーズ人間形成と社会 ―学校・地域・職業」が刊行の予定。
(3)地域と教育の比較研究
豊岡地域研究を過去10年に渡って進めてきたが、その蓄積を踏まえて飯田地域の学校と地域の関係を検討している。飯田下伊那における学校史料と地域社会に関する基礎的研究(日本学術振興会科学研究助成金研究(代表田嶋一)の一環。
(4)日韓の学校受容研究
一橋大学・ソウル大学を中心とする日韓シンポの一領域として日韓教育比較研究を進めている。「日韓相互認識」研究の深化のために (日本学術振興会科学研究助成金研究(代表吉田裕))の一環。
(5)戦後教育学の検討
日本教育学会のプロジェクトとして学外関係者とともに戦後の教育学の遺産のヒアリングと検討を行っている。「戦後の戦後教育学の遺産の記録」(日本教育学会特別課題研究、代表)の一環。
(6)学校化社会の形成過程研究
戦後の学校の受容に関する研究をスタートさせた(日本学術振興会科学研究助成金研究(代表木村元))。6-3-3-4制の主流なルートではないが、このシステムを維持させるためにあるいは補完するように存在した学校に注目して、日本が構築した学校化社会の性格を検討する。
(7)その他
産育と教育に関する研究会など。