TFコース:体験記 4

【社会学研究科博士後期課程修了 Mさん】  参加時期(2012年4月~2014年3月)

 私は、2012年度、2013年度と年度をまたいで本コースを受講しました。途中、学位論文の執筆などで中々時間を取ることができないときもあり、ディプロマ取得を諦めようと思ったこともありましたが、最後まで終えることができて本当によかったと思っています。

  本コースでは、講習会Aを受けた後、授業観察、授業実習を行い、最後に講習会Bを受けます。まず講習会Aでは、授業のノウハウを教えて頂いたほか、実際に シラバスと指導案を作成しました。事前課題として提出したシラバスと指導案に先生方や他の受講生の方から意見を頂き、さらに修正版を作成しました。それま でシラバスを作成したことがなかったため、作成にあたっては大変苦労しましたが、本学のシラバスのほか、他大学のシラバスも参考にしながら、なんとか作成 しました。講習会では、授業の展開の仕方や到達目標、成績評価の示し方など、とても細かい点までコメントを頂きました。そのため、修正版はかなりバージョ ンアップしたものができたように思います。実際にシラバスや指導案を作成してみることによって、具体的な授業のイメージを持つことができるようになり、実 習に向けてよい経験となりました。また、この経験は、公募でシラバスの提出が求められた際にも大変役立ちました。

 次に 行った授業観察では、それまで受講生として授業を受けていたときとは異なった視点で授業を捉えることができ、先生方が受講生の理解を促すため様々な工夫を されていることに気づくことができました。適当なタイミングでディスカッションを入れたり、写真や図を示したりなど、受講生の集中力が持続するような工夫 をされていたので、授業実習を組み立てる際の参考にさせて頂きました。
 授業実習は、準備の段階から、時間は余らないだろうか、受講生がきちんと 聞いてくれるだろうかなど、多くの不安がありました。一回目の授業実習では、時間配分がうまくいかず、5分ほど時間があまってしまいました。二回目の授業 実習は、時間配分はうまくいきましたが、説明が早口になってしまったところなどもあり、反省点が残りました。また、緊張のため、受講生の様子をじっくり見 ることもできなかったように思います。反省点だらけの実習でしたが、何度か授業を行ったという経験は、その後、公募で模擬授業をした際には役立ちました。 授業実習の経験があったため、模擬授業では落ち着いて授業をすることができたのです。結果、非常勤の経験がない割には授業がうまいと評価して頂きました。

  講習会Bでは、それぞれの授業実習の振り返りと講師の先生からの講義、既に就職された先輩方のお話がありました。実習の振り返りでは、実習の経験を皆で共 有しながら、反省的に振り返ることができ、大変勉強になりました。他の受講生の方も自分と同じような不安を抱えていたことが分かり、少し安心したと同時 に、自分では考えられなかった工夫を他の受講生の方がされていたことに驚かされました。また、先生方を交えてのディスカッションでは、普段はなかなか聞く ことのできないことをざっくばらんに話し合うことができました。実は、本コースの受講中に就職が決まったのですが、非常勤経験のないまま常勤となるため、 どのように授業を行ったら良いか非常に不安でした。ですが、この講習会Bで先生方が本当に些細な質問一つ一つに答えてくださったので、不安感を払拭するこ とができました。また、就職した先輩方の体験談は、非常に具体的で、近い将来の自分が直面するであろう課題を把握することができました。

  高校や中学では、教育実習というものがありますが、大学の場合はそういった制度は特に設けられていないため、自分に授業ができるのだろうか、と不安に感じ ていました。実際に大学教員として授業を行う前に、このようなコースに参加でき、本当によかったと思っています。サポート頂いた先生方、スタッフの皆様に 心から感謝しています。どうもありがとうございました。