TFコース:体験記 3

【社会学研究科 博士後期課程 Jさん】  参加時期(2013年4月~2014年3月)

  ティーチングフェロー・トレーニング・コースには、講習会A、授業観察、授業実習、講習会Bといったプログラムがあります。これらは一年ですべて取ること もできますし、年度をまたがった履修も可能です。どちらの形にもメリットがありますが、私は一年でまとめて履修したことにより、それぞれのプログラムのつ ながりを実感しやすかったように思います。
 講習会Aではまず、自分の研究分野に即した講義を想定して、シラバス案と講義の指導案を作 成しました。実際に作ってみると、例えば各トピックを15回の講義にどういった順番で配置するかといった大まかなことから、講義したいと考えた内容をどの ような導入や流れで話していくかといった細かなことまで、自分の裁量に任される部分が多くあることを実感しました。
 このようにシラバスや指導案 を作成した後だと、授業観察も単に授業を履修する立場とは違った視点で取り組めました。授業内での時間配分や、学生の注目を集めるような映像資料などを効 果的なタイミングで提示していること、なるべく学生の方に向けられた教師の視線や、口調にも細やかな配慮がされていることなど、様々なことを学ぶことがで きました。

 そして、授業観察と交互に行った授業実習は、大変実りあるものになりました。90分の授業を実際に行ってみた上での失敗や反省、もらったコメントシートでの学生からの意見など、どれも他では得られない貴重な財産だと思います。
  私は一回目の実習では、用意していった内容が早めに終わり時間が余ってしまいました。大まかな内容は事前に授業の担当教員と相談していたのにも関わらず、 そういったことが起こるのだということをまず学びました。原因として、内容だけを伝えることに終始してしまったことや、スライドの提示時間が短かったこと が考えられたため、二回目の実習では内容を増やすだけではなく、内容からは少し逸れてしまっても学生の興味を引きつけられるであろう余談を考えていった り、スライドの提示時間を長めに取ったりといった改善を加えました。
 授業後に書いてもらったコメントシートでは、講義に関する率直な意見を聞く ことができました。多くの学生が興味をもつトピック、疑問をもつトピックを知ったり、講義の技術上のことに関しては、スライドの文字の大きさや配布資料の 印刷の仕方に関するフィードバックをもらったりという経験ができました。そこでは、講義は決して教師から学生への一方通行の伝達でなく、教師と学生の相互 作用であることを身をもって実感しました。これらの経験や反省は、今後講義を担当していく上で貴重な糧になったと思います。

  最後の講習会Bでは、TFプログラム参加者の実習報告を聞いた上で教員を含めディスカッションを行い、そこでまた新たに反省や改善点を得ることができまし た。また、大学で講義をされているOB・OGの先生方による貴重でリアルな体験談を聞くことができ、将来に直結するようなお話しを伺うことができました。

 一年を通しこれらのプログラムを修了したことで、今年度から担当していた非常勤講師のお仕事に関しても、より良くするためにできることへの理解が深まりました。
  TFプログラム、キャリア支援室のスタッフの皆さまには大変お世話になりました。また、授業観察をご快諾いただいた先生、TF履修同期生の方々、そして授 業実習の際ご指導ご所見をくださった先生、本当にありがとうございました。今後はプログラムで得たものを具体的に授業に生かしていきたいと思います。