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社会学研究科講義科目

※ 当該講義情報の詳細は 本学学務情報システム・学生ポータル CELS を参照してください。

総合社会科学専攻 人間行動研究分野 4312 B 春・夏 火曜日3時限  2単位

地域研究の理論

担当教員:児玉谷 史朗
【教授言語】

日本語

【学部・学年の指定】

大学院生

【授業科目の目的と概要】

本講義は、地域研究について基本的事項を解説し、地域研究と関連する専門分野の関連、グローバル化の進展に伴う変化など地域研究が直面する課題について講義する。地域研究(area studies)とは、特定の国や地域(東南アジア、アフリカ、ラテンアメリカなど)総合的、学際的に研究し、その国や地域の特殊性や固有性を明らかにしようとする、第二次世界大戦後に生まれた新しい研究分野である。その背景には、米国が第二次世界大戦後、東西冷戦体制の中で南北問題に対応するときのために、発展途上国や東側諸国の事情を調査し、情報を収集するという外交政策上の必要が関係していた。それまで欧米先進国を研究対象としてきた従来の専門分野に対して発展途上国を対象にしたこと自体に一定の意義があった。しかし同時に理論的な問題もはらんでおり、近年グローバル化の進展等によって、地域研究の限界が指摘されている。本講義ではこれらの問題を取り上げたい。

【授業の内容・計画】

当初から、地域研究の限界、あるいは弱点として挙げられていた点。
地域研究は一つの地域、国を対象に研究し、その特殊性や固有性を明らかにしようとするが、特殊性や固有性は、他の国や地域と比較したり、類型化しないと判断できない面があり、一国研究だけでは限界がある。
総合性や学際的研究の重要性や利点は理解できるが、それは個人で実現可能か。
一国研究では、国家間の支配・従属的関係や相互依存関係などの関係が軽視される恐れがある。特に、地域研究の対象は発展途上国で、形式的には先進国と同じ近代主権国家であるが、その財政基盤や人的、制度的基盤は脆弱。

近年グローバル化の進展等によって、地域研究の新たな問題や限界が指摘されるようになってきた。
グローバル化の進展によって、人・モノ・金の越境的移動が著しく増大し、国境と国民国家の重要性が低下してきた。国民国家を前提とした一国研究の地域研究では、移民、難民、旅行者のような人々や麻薬取引、人身売買、国際テロのような越境的、国際犯罪も対象となりにくい。フェアトレードやエシカルトレードによるサプライチェーンの統制など消費者・小売業者と生産者の関係も展開してきた。
一部の発展途上国の発展により、欧米先進国の研究者による発展途上国の研究という構図が成立しなくなっている。日本に加えて、韓国、中国、インド、ブラジルなどにおいてアフリカ研究が行われるようになってきた。
経済学、政治学等、既存の専門分野が地域研究の対象であるアジアやアフリカを対象に研究するようになってきた。
歴史的要因の考慮。もともと地域研究は地域単位に固有の経済、政治、社会の仕組みを理解しようとするもので、固有性は歴史的堆積の上に成立しているとも言える。しかしともすると他の地域との本質主義的な違いや特徴で説明してしまう危険性もある。違いを歴史的変化のダイナミズムとしてとらえる視点が重要になってきていると言える。

【テキスト・文献】

武内進一 (2012) 「地域研究とディシプリンーアフリカ研究の立場から」『アジア経済』53巻4号 6-22ページ。
重冨真一 (2012) 「比較地域研究試論」『アジア経済』53巻4号23-33ページ。

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