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歴史社会研究分野

 「歴史社会研究分野」という科目群は、人間の世界において過去に生起したこと(「存在としての歴史」)を復元・認識するために、その素材である過去の痕跡としての史料(歴史資料)を厳密に操作する方法を学び、実際にその方法に基づいて、ある地域・時代の歴史を探究しようとするユニットです。


ギリシア神話で歴史を司る女神クレイオ(ラテン名クリオ)

1. 歴史学とは何か、「社会史」とは何か

 「歴史社会研究分野」の最大の特徴は、この科目群の開講科目とその担当教員のすべてが、方法としての歴史学を用いていることです。それでは歴史学とは何でしょうか。私たちはそれを、人間の世界において過去に生起したこと(「存在としての歴史」)、過去における人間の物質的・精神的諸活動の総体を究明しようとする学問と考えます。その固有の方法は、(1)史料収集──それぞれの関心と主題に応じて、過去の痕跡である「史料」(歴史資料)を出来る限り大量に収集して、(2)史料批判──過去を復元・認識するために、学問的に厳密な手続きによりながら史料を批判・分析し、(3)歴史叙述──史料収集と史料批判から得られた知見を作品化することです。こうした歴史学の方法は、経済学、政治学、社会学、人類学、文学などの人文・社会科学研究の諸分野にも、また場合によっては自然科学にも取りいれられていますし、歴史学もまた他分野の最新の方法論を取りいれて発展してきた、それ自体が学際性のたいへんに強い学問分野と言えるでしょう。そのなかで歴史学の核心とも言える特徴は、ただ単に過去の事実に関心を寄せ、事実を明らかにすることにとどまらず、過去における人間の物質的・精神的諸活動の総体に内在している基本的な構造と発展の論理を究明しようとすること、すなわち「全体」と「構造」に対する関心です。このように固有の方法を駆使して研究すること、歴史学全体としては体系を見出そうとしていることが、歴史学を単なる歴史好きから分かつゆえんなのです。
 一橋大学は、日本の歴史学の発展に大きな役割を果たした歴史学者を多く生み出してきました。とくに、一国史的関心を超えた世界史的な視野と方法の開拓と、探求と関心の対象を常に社会の総体に向ける社会史の視点と方法の開拓のふたつの点で、一橋大学の歴史学は日本の歴史学に大きく貢献してきました。社会学部の科目群における「社会史」は、対象としての過去を国の歴史や個別化した政治史・経済史を超えた全体史として追求する一橋大学における学問としての歴史学の特徴を表現しています。個別の研究や授業の主題がたとえある時代・ある個人の思想や、ある国のある事件であっても、それが社会の全体とどのように相関していたのか、あるいは国の歴史を超えたどんな見方が可能なのかということに常に強い関心を向けるのが、一橋大学社会学部の「社会史」、「思想史」の特徴なのです。

歴史学では文字史料ばかりでなく、図像や記念碑など視覚的史料もときに扱います。新聞に掲載された諷刺画などから、公文書ではみえてこない人々の声が聞こえてくることもあるのです。( 上:「これが白人の政府」1868 年9 月Harper's Weekly)

2.「歴史社会研究」の学び方

 歴史学は以上のような学問ですので、系統的に学ぼうとする場合、とくに大学院進学の関心がある場合には、(1)文献・史料の読解力、(2)史料批判、(3)史料の分析と総合、(4)歴史叙述の方法について、それぞれ学問的な手続きを踏むこと、すなわち方法としての歴史学を習得することが必要です。
 (1)については必要な語学力の修得が含まれますし、日本史でも「くずし字」など古文書の読解力を修得する必要があります。(2)では信頼できる史料とは何か、その史料を全体のなかでどのように位置づけたら良いのか、どのように使うことができるかなどを判断する学問的な手続きを習得する必要があります。これらの力をつけるために開講されているのが、社会史史料講読や古文書(中世、近世)です。
 (3)、(4)を学ぶ主たる場はゼミです。1年冬学期と2年で履修できる社会研究入門ゼミ(期間は1学期=半年)で、歴史社会研究所属教員のゼミを受講することは、その入門としての意味をもつでしょう。さらに学部3・4年ゼミでは、日本、アジア、ヨーロッパ、アメリカの各分野の歴史研究で必要とされる方法を総合的に学んでゆくことになります。
 日本社会史、アジア社会史、ヨーロッパ社会史、アメリカ社会史の総論、そして日本社会史・思想史、アジア社会史、ヨーロッパ社会史、アメリカ社会史の特論は、それぞれ担当教員が個別の主題について開講する教室講義科目です。歴史学を系統的に学ぼうとする場合には、こうした歴史学関係の講義をできるだけ広く、その対象とする時代・地域の違いを問わず履修し、歴史および歴史学に関する基本的な知識を習得することが必要でしょう。

3. 履修モデル

 「歴史社会研究」の所属教員の専攻は、日本、東アジア(朝鮮・中国)、ヨーロッパ、北アメリカの歴史です。これらのすべてにわたって講義を履修することが望ましいことですが、実際に史料を使って研究を進めるとなると、地域ごとに形態の異なる史料の読解・批判の方法の基礎を修得するのに多くの時間を要しますので、特定の地域の歴史を専攻することが適切です。そこで、「歴史社会研究」では「社会史日本」、「社会史アジア」、「社会史ヨーロッパ・アメリカ」の3つの履修モデルを用意しました。どのモデルも、2で示した「歴史社会研究」の学び方という点では共通していて、関心のある地域に応じて、学部基礎科目や学部発展科目で集中的に受講すべき科目、幾つかのなかから選択して受講すべき科目を図に示しました。図に示すために、一部科目名を簡略化していますので、実際に受講するときはシラバスでよく科目名を確認して履修するようにして下さい。
 より具体的な履修モデルについては、教員に個別に相談するのが一番です。担当教員はそれぞれオフィス・アワーをもっていますので、事前に連絡したうえで相談することをおすすめします。

歴史研究はフィールド・ワークの学問でもあります。上:拓本風景

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