連続市民講座

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連続市民講座

一橋大学社会学部連続市民講座2007

「市民の社会史」

講義概要

4月21日(土) 三谷 孝:秘密結社の社会史~20世紀中国の場合

中国の民衆がなぜ秘密結社・民間結社を必要とし、それに加入したのか。主として20世紀の諸結社の場合について、華南のフロンティアで組織された天地会、華中の内陸中小都市の流通を支配した哥老会、沿海大都市の上海に大勢力を築いた青幇、華北農村の村ぐるみ的自衛結社の紅槍会、を事例として、それぞれの入会者の証言を資料として考えてみ>たいと思います。

5月19日(土) 吉田 裕:戦争の社会史~アジア・太平洋戦争の戦場と兵士

戦後の日本社会では、軍事史研究は、基本的には軽視されてきました。悲惨な敗戦に対する反省から、研究者の間にも、軍隊や戦争に対する強い嫌悪感が存在したからです。ところが最近になって戦争体験を持たない世代の研究者の中から、戦争や軍隊を社会史・民衆史の次元から捉え直そうとする動きが強まってきています。この講演では、そうした>研究動向に学びながら、日本の近代史の中で軍隊が占める位置を再検討してみることにしたいと思います。

6月16日(土) 若尾政希:物語の社会史~日本近世の場合

「『太平記』から歴史を読み解く」というと、皆さんは『太平記』は軍記物語であってフィクションから史実がわかるはずはないとお思いになると思います。それは確かにその通りですが、視点をかえると物語から歴史を読み解くことできます。この講義では、近年の日本史研究の世界に皆さんをご招待したいと思っています。

7月21日(土) 多田 治:観光の社会史~沖縄イメージを旅する

日本の観光の歴史の中に沖縄を位置づけ、いかなる沖縄イメージが誕生し、変容してきたかを見ていきましょう。沖縄は、日本の南の楽園リゾートでありながら、全国の0.6%の面積に在日米軍基地の75%が集中する、日米安保の軍事拠点でもあります。この沖縄の“いま”と歴史を、あえてツーリストの目線で旅することで、東京の日常からは見えにく い、日本がおかれた政治・軍事・開発・観光・風景・環境・文化などの多面的な問題が浮かび上がります。

9月15日(土) 看取りの社会史~地域コミュニティとケア

国立市市制施行40周年特別企画、共催:NPO在宅ケアを支える診療所・市民全国ネットワーク

現代の日本人は、人生の最後の時間を住み慣れた自宅で送るのではなく、病院のベッドの上で迎える場合が大多数になってきています。国の打ち出した医療制度改革は、財政的理由もあり、「病院死」ではなく、「自宅死」の選択を優遇しており、地域の医療、看護、介護のあり方も揺れ動いています。このパネルディスカッションでは、これまで病院>、施設、自宅での多くの看取りに立ち会ってきた新田國夫医師に事例を紹介していただき、社会学部のスタッフが社会学(渡辺雅男)、倫理学(古茂田宏)、コミュニティ政策(林大樹)の立場から考察していきたいと思います。

10月20日(土) J.ルイス:ソフトウェア開発の社会史~開発者の自由、企業の利益、政府の立場

20世紀の経済発展の基盤が鉄鋼製造だったとすれば、21世紀の経済発展の基盤はソフトウェアです。1980年代に、ソフトウェアの自由な利用を追求するオープン・ソース・ソフトウェア(OSS)運動が発足しました。1990年代以来、日本でもOSSビジネスを展開している企業が多く、またソフトウェアの創造と改善を行っているコミュニティが増えています>。そして、近年日本政府もOSSの促進政策を実施しています。これら、利害や価値観が必ずしも一致しないアクターがOSSの開発や普及をめぐってどのように折衝しているかを、具体的な例をあげながら論じます。

11月17日(土) 久冨善之:教師の社会史~教員世界の誕生・変遷・日本的独自性と今日的課題

教師という存在は、誰もが子ども時代に学校で毎日のように接して来ましたが、「教師が本当は何を考え、何をしているのか」という教師の世界は見えにくい。この独自世界は19世紀に皆学制(子ども皆が通う)近代学校の必要から生まれました。そして「学校で教える」仕事がはらむ難しさ・独特さを何とか乗り切る文化(教員文化)を伴いながら>、子ども・父母・社会とたえず相互に交流しつつ時代とともに変遷して来ました。今日、ニュースに事欠かない教師の姿と課題を、社会史的根拠から考えます。

12月15日(土) 森村敏己:世論の社会史~18世紀フランスの場合

現在では国民が政治に対する意見を表明する権利が認められ、マスコミによる世論調査も行われていますが、絶対王政時代のフランスでは、建前上、世論は存在しないことになっていました。とはいえ、もちろん人びとは政治や社会に対して不満を抱き、政府もその動向に神経をとがらせていました。では、当時の人びとはどのようなかたちで自分たち>の思いを表していたのでしょうか。それを知ることを通して世論の力について考えてみたいと思います。

1月26日(土) 倉田良樹:雇用の社会史~会社員にとっての市民社会

「戦後日本では、企業による労働者支配が貫徹され、会社員とその家族の生活は企業社会の中に深く埋め込まれてしまった。」「企業中心の日本社会では、会社員は市民社会の主体となりえなかった。」講義では、以上のような「企業社会論」の言説が陥りやすい理論的な誤謬を批判的に検討します。行為主体としての会社員が戦後日本社会をどのよう>に作ってきたのか、という社会史的考察を試みます。理屈っぽい話になるかもしれません。

2月16日(土) 濱谷正晴:反「受忍」の社会史~<原爆と人間>の視座から

「国をあげての戦争による犠牲はすべての国民がひとしく受忍しなければならない」。私たちは、このような戦争観に立つ政府の下で、日々暮らしています。「受忍」というのは、「がまん」「堪え忍ぶ」ということです。でも、戦争がもたらした犠牲って、そもそも我慢できるようなものなのでしょうか?〈心の傷〉を手がかりに、人びと(市民)が>それぞれどのように戦争犠牲と対峙してきたのか。その歩みを追ってみたいと思います。

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