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社会学研究科講義科目

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地球社会研究専攻 環境 4824 秋・冬 火曜日2時限  2単位

開発援助の諸問題

担当教員:児玉谷 史朗
【教授言語】

日本語

【学部・学年の指定】

社会学研究科地球社会研究専攻、社会学研究科総合社会科学専攻。社会学研究科以外の院生の受講も可能です。

【授業科目の目的と概要】

講義題目 開発援助とアフリカの国家、政治

概要
サブサハラアフリカ(アフリカで北アフリカを除いた地域)を事例として、開発援助と政治、国家の関係を検討する。ここでの開発援助と政治の関係というのは、開発援助が被援助国の政治、行政、国家に、どのような影響を与えたのか、という方向の関係と、開発援助が被援助国の政治、国家に制約されたり、利用されたりするために影響を受けるという逆方向の関係の両方を含む。そこで、本講義では、ドナー(援助国・援助機関・援助団体の総称)側と被援助国であるアフリカ側の国家の両側から、それぞれ開発援助と国家、政治の関係について検討する。ドナー側からのトピックとしては、(1) 東西冷戦体制下での「国づくり」、近代化としての開発、(2) 構造調整(経済改革)、(3) 「良い統治」、ガバナンスと民主化、(4) セクターワイドアプローチ、援助協調、(5) 貧困削減戦略書とミレニアム開発目標を取り上げる。アフリカ側からのトピックとして、(1)新家産国家、(2)外からの改革とアフリカの国家、(3)国別の事例を取り上げる。

【授業の内容・計画】

第1回序論
本講義で、開発援助とアフリカの国家、政治を検討するにあたって、何が開発援助とアフリカの国家、政治との相互の関係に関わってくるか、その範囲について検討する。手がかりとして、近藤英俊(2007)を導入に読む。近藤論文は、開発(援助)がドナー(援助国・援助機関・援助団体の総称)側の開発専門家とアフリカ現地の様々なアクターとの交渉のアリーナ(場)としてとらえる視点から、ドナー側の開発戦略とアクター及びアフリカ側の国家、社会のアクターの両方を取り上げ、対比しつつその特徴を考察している。本講義でも、開発援助がアフリカの国家に与えた影響とアフリカの国家や政治が開発援助に与えた影響の両面から検討するので、枠組みを考える上で重要である。近藤(2007)は、ドナー側については主に、今や開発の人類学の古典とも言えるFerguson (1994)に依拠して説を展開している。そこでは先進国や国際機関による普遍的開発言説の構築と被援助国像の形成、これらに基づいた開発プロジェクトの計画が指摘される。アフリカの国家、社会の側のアクターや論理については、近藤 (2007)はバヤールの研究を中心に近年のアフリカ国家論、アフリカ政治学の研究成果からまとめている。 参考文献 近藤英俊(2007)「開発専門家と政治起業家-社会的交渉のアリーナとしての開発-」(『アフリカ研究』No.71, 2007年12月)
Ferguson, James (1994) The Anti-Politics Machine: Development, Depoliticization and Bureaucratic Power in Lesotho. Minneapolis, University of Minnesota Press
第2回 MDGsとアフリカの国家、政治
 1970年代、80年代の経済発展の成功例は、東アジア、東南アジアの新興工業国・地域NIES (NICS)である。その開発モデルは、工業化、急速な経済成長、それを支えた教育と保健医療の充実。政治的には、開発独裁とも呼ばれる強権的な体制が見られた。MDGsはアジアNIES型の工業化、経済発展モデルとは異なり、社会政策、社会開発が中心である。MDGsの実績の良かったアフリカの国はどのような国なのか。実績のよかった国は、ルワンダ、エチオピア、ガーナ、タンザニア、ウガンダ、モザンビークなどである。これらの国のうち、ガーナは政治面でも民主化、民主主義の定着の点で評価できるが、ルワンダ、エチオピア、ウガンダ、モザンビークはガバナンスについて議論があり、民主主義の点では問題があるとされる。
第3回 開発の時代における開発(援助)と開発指向国家
 1950年代、東西冷戦体制の中で南北問題が登場した。その中で、開発が近代化論など国家が主導するものとして位置づけられたこと、また開発を国是として支配を正当化し、国家による資源動員や国民統合を進める体制がとられたことを説明する。
第4回 構造調整(経済改革)、良い統治(ガバナンス)とアフリカの国家
1.構造調整が開発援助とアフリカの国家に与えた影響と変化
(1)ドナーとアフリカ諸国の援助に関わる関係、界面 interfaceの変化。(2)債権国=援助国、国際金融機関によるアフリカ諸国の開発政策、経済運営への関与の増加、(3) アフリカ諸国の開発戦略、開発政策の自主性・自律性の低下・制約、(4)構造調整の「痛み」と政権への国民の不満、経済運営の失敗に対する批判が政権への支持の低下と反政府運動の高まり
2.「良い統治」、ガバナンスとアフリカの国家
3.Washington consensusからpost-conditionality politicsへ
第4回 セクター政策、貧困削減戦略
第5回 援助の非政治化
 Ferguson (1994)は、そのタイトルの副題にあるように、depoliticizationが一つのテーマである。すでに見たように、(開発)援助は政治とは不可分の関係において実施されてきた。何が政治的活動や政治的領域か。重要なポイントは、そしてそれが政治性をいかにして脱色されるのか。Ferguson (1994)は、二つの異なる領域で、非政治化を指摘している。一つは、普遍的開発言説における非政治性で、被援助国(これ自体非政治化されているとも言える)を発展途上国一般の類型として描く。もう一つは、個別の開発プロジェクトにおいて開発専門家を呪縛する開発言説の非政治性である。
 Ferguson (1994)が調査研究した農村開発の事例は1970年代、80年代のプロジェクトであった。すでに述べたように、その後1980年代以降になると農村開発のように技術協力的色彩の強いプロジェクトとして開発援助が行われるのではなく、構造調整、ガバナンス、セクター政策、直接財政支援などアフリカ諸国の財政、経済政策、行政に関与する度合いが高くなった。このような状況において援助のdepoliticizationは維持されたのか。
第6回 アフリカの国家
 アフリカの国家の特徴として、よく言及されるのが「新家産制国家」(neo-patrimonial state)である。

【テキスト・文献】

文献は講義の各回に示す。

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