日本語
全学部、2年生以上
普段自明なものとして受け止め、無意識のうちに活動したり、見たりしているスポーツという現象、およびスポーツにまつわる社会現象を、社会科学の対象として認識し、分析すること。
*スポーツを歴史的、社会的にさまざまな視点からとらえることができること。
*スポーツを通して社会を把握する視点を醸成すること。
*考察に必要な文献、資料、データ等を検索、収集し、それらを論理的に読み解いていくこと。
本授業でいう「スポーツ社会学」とは、スポーツの社会学(sociology)だけではなく、スポーツの社会科学 (social sciences)を意味し、より包括的な内容を扱う。
授業は、4名の教員(坂上・坂・鈴木・尾崎)によるオムニバス形式で行い、スポーツとそれにまつわる社会現象を社会科学の視角から考察していく。普段自明なものとして受け止め、無意識のうちに活動したり見たりしているスポーツという現象を、社会科学の対象として認識し、分析することが目標となる。多様なスポーツに関わる事例を取り上げ、担当教員がそれぞれ、歴史学、社会政策/開発学、教育学、社会学などの分析視角、理論やモデル、手法などを用いて読み解いていく。
各回の担当者とテーマは下記のとおり。
<坂上>
第1回(6/4) スポーツの誕生―母国を探る
第2回(6/7) スポーツの伝播と変容―オーストラリアを例に
第3回(6/11)戦後日本のスポーツ文化史
<鈴木>
第4回(6/14)スポーツと途上国開発―Kick4Life:レソト王国におけるサッカーを通じたHIV/AIDS教育
第5回(6/18)スポーツと貧困・社会的排除―野武士ジャパンとダイバーシティカップ
第6回(6/21)スポーツと都市開発―メガイベントの功罪を検証する
<尾崎>
第7回(6/25)スポーツの制度―スポーツ政策の動向
第8回(6/28)もうひとつの「しょうがい」スポーツ―障害のある人々のスポーツ
第9回(7/2) スポーツ、社会、多様性―オーストラリアを例に
<坂>
第10回(7/5)ジェンダーとスポーツ
第11回(7/9)「文明化の過程」とスポーツ
第12回(7/12)遊び論とスポーツ
<坂上>
第13回(7/16)総括と補足
テキストは使用しない。それぞれの参考文献の詳細は、授業中に紹介する。以下は主なもの。
【坂上担当部分】
・多木浩二『スポーツを考える―身体・資本・ナショナリズム』ちくま新書、1995年
・レイモンド・トマ『新版スポーツの歴史』白水社文庫クセジェ、1993年
・トニー・メイソン『英国スポーツの文化』同文舘、1991年
・小倉純二他監修『フットボールの歴史』講談社、2004年
【鈴木担当部分】
・齊藤一彦・岡田千あき・鈴木直文編『スポーツと国際協力』大修館書店、2015年
・A.ジンバリスト『オリンピック経済幻想論』ブックマン社、2016年
・松村和則編『メガ・スポーツイベントの社会学』南窓社、2006年
・サイモン・クーパー、ステファン・シマンスキー『ジャパンはなぜ負けるのか』NHK出版、2010年
【尾崎担当部分】
・関春南『戦後日本のスポーツ政策』大修館書店
・藤田紀昭『障害者(アダプテッド)スポーツの世界―アダプテッド・スポーツとは何か』角川学芸出版
・藤川隆男編『オーストラリアの歴史』有斐閣
【坂担当部分】
・清野正義他編著『スポーツ・レジャー社会学 オールターナティブの現在』道和書院、1995年
・N. エリアス/D. ダニング『スポーツと文明化 興奮の探求』法政大学出版局、1995年
・B.Houlihan(ed),Sport and Society A Student Introduction, SAGE, 2003
・J.ホイジンガ『ホモ・ルーデンス』中公文庫、1973年
・R.カイヨワ『遊びと人間』講談社学術文庫、1990年
・井上俊『遊びの社会学』世界思想社、1977年
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