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社会学部講義科目

※ 当該講義情報の詳細は 本学学務情報システム・学生ポータル Mercas を参照してください。

社会学科導入科目 40102 春 月曜日1時限  木曜日1時限 2単位

社会科学概論Ⅰ

担当教員:町村 敬志
【教授言語】

日本語

【学部・学年の指定】

社会学部1年生は複数開講される社会科学概論Ⅰのどれかを選択必修。

【授業科目の目的と概要】

【本講義のねらい】
いま、人文・社会科学の知の力には大きな期待が寄せられている。世界には、一国では対応できないさまざまなグローバルな課題が山積している。その解決のためには、単なる技術の革新だけでなく、持続可能で、しかも異なる多くの人が受け入れることのできる社会制度、その制度を適切に支える価値・思想・哲学の存在が欠かせない。科学技術の進展は、生命、情報、エネルギー、環境といった領域で大きな成果をもたらした。しかしより重要な課題は、科学技術やその成果を人間にとってコントロール可能ものとするにはどのような社会的仕組みや合意の基盤が必要なのか、この点にある。

 本講義は、人文社会科学の諸領域をこれから学ぶ諸君を対象として、次の3つのねらいをもって設計されている。
1)高校までとは違う自主的な学修のスタイルを身につけ、とりわけ批判力を鍛えること、
2)社会を知的に生きるために求められる「知の技法」を修得すること、
3)人文社会科学を学ぶ上で欠かせない「知の羅針盤」を各自が構築すること。
本講義では1)に力点を置きながら、2)3)にもふれる。

【本講義の到達目標】
この講義では、次の3点の重要性について事例を通じ具体的に理解するとともに、それらを生かした思考法の基礎を固めることを、主要な到達目標とする。
1)身近な世界と自分から遠い世界を連関させていく知的好奇心と想像力
2)さまざまな価値や思想に開かれた知的な寛容性、自分とは異なる文化や生き方に対する共感力
3)公正や正義という観点から批判的に物事を見つめ、問いを提起し続けていく力
 これらは、人文社会科学的な知の力を身につけるための基本的条件でもある。あわせて、次のような知的スキルについても、討論や発表、レポート作成などを通じて、大学水準の学びの形について基礎的な機会を共有する。
1)情報(言語、映像、数字、モノなど)を自ら収集し、それを自力で加工し分析していく実践的な情報分析力
2)自らの思考を他者にとって理解可能なように整理し伝わる形へと置き換えていく豊かな表現力と発信力
3)思考の成果を、実行可能で政治的にも公正で民主的な制度へと変換していく力

すぐ役立つ知識はすぐに古びてしまう。大切なことは、自ら学び続ける力を身につけられるかどうかにある。そのためには、複眼的で柔軟な視点、豊かな教養と深い思索、あらゆるタイプの資料やデータに向けられた感性と貪欲さが欠かせない。小さな器には小さな成果しか盛ることができない。まずは、知の「大きな器」をつくりあげていく一歩を踏み出すこと、この講義の到達目標はこの点にある。

【本講義の進め方】
テキスト・資料を指定するので、毎回それらを事前に読んできたことを前提に、それらの読解を含めた講義を行う。授業のなかでは個別の発言を求め、また討論を行いながら理解を深めていく。意見が分かれるテーマについて、グループ報告作業チームを募集し、準備のうえ報告を行う。また、レポートを講義の中で課し、その作業を通じて、大学で学ぶことのきびしさ、楽しさを体感することとなります。

【授業の内容・計画(回数・日付・テーマ等)】

授業の目的などに基づき、具体的な社会問題や事例を講義では取り上げ、それについて、理論、研究史、現状を学ぶ。また、解決の方向について、複数のグループによる報告の後、討論をおこなう。事例は、身近な領域からはじめ、次第に大きなテーマへと広げていく。

パート1 <大学という新しい世界は、社会につながっている>
1 (4月12日)社会とは何か
「社会」とは何か。社会科学とは何か。人文・社会科学はなぜ重要なのか。自然科学との違いを含め、出発点を明らかにする。

2 (4月16日)街を歩けば――国立(くにたち)というフィールドを歩きながら考えてみよう(当日は教室での講義はないので、各自、観察の時間にあてること)。大学のある国立は社会科学的にみても個性的な特徴をもつ。実際に街を歩き、その魅力や課題を批判的な目で見つめ直してください。「見えている」ものの根底に「見えていない」構造や心性が広がることにつねに気がつくこと、それが「批判」の力です。身近な世界から「社会」は広がっています。
【課題 各自によるミニ・フィールドワーク 次回、小レポート提出、報告希望者を募集】

3 (4月19日) 街を作る力から考える――権力・対抗・創造
国立の街の背後には、実はそれを作り上げてきたさまざまな歴史的な力が存在している。あらゆる事柄は連関し合っている。ミニ・フィールドワークの成果を共有し、それについて議論することから始めよう。この街には何があるのか、何がないのか。
【課題文献 『国立市史』、映像資料:岩波映画『町の政治』(参考YouTube版:「日本のドキュメンタリー 政治・社会編 DVDBOX 作品紹介(2)」(https://www.youtube.com/watch?v=G2pTOGfonNk&t=130s)に紹介あり)】
【課題 教室での希望者報告、小レポート提出】

パート2 <この社会の矛盾を知る―― 少しだけまわりを見回してみよう>
4 (4月23日)いまそこにある格差と貧困――階級・階層・不平等の現在
「豊かな」社会だと自負していた日本で、なぜ「貧困」や「格差」が大きな社会問題となっているのか。格差と不平等の階級・階層・不平等は歴史的にどのように理解されてきたのか。
【文献:貧困・格差についての歴史的ルポルタージュ(エンゲルスと横山源之助)】 

5 (4月26日) 格差と貧困の社会科学
過去の貧困・格差と現代の貧困・格差の間には、どのような違いがあるのか。また共通点は何か。マルクス以後の研究史をたどりながら、格差と貧困の社会科学の基礎を学ぶ。
【文献:マルクス、T・ピケティ『21世紀の資本』(原著2013年、訳2014年)「はじめに」ほか】
【参考:YouTube: Reading Marx's Capital Vol I with David Harvey】
【社会科学を学ぶために:レポートの作法】

6 (4月30日) 格差・貧困に取り組む多様な道とは?  
では、どのような解決策があるのか。問題を国内だけに限定することはもはやできない。途上国と先進国の格差にどう取り組むか。世代間に機会の差はあるのか。若者は損をしているのか。一橋生ははたしてエリートか。グループ発表により報告をしてもらう。
【グループ報告・希望者: 】
【課題 第1回中間レポート提出締め切り(4月30日予定)】

パート3 <共感の基盤はどこまで広げられるか―ローカル・ナショナル・グローバルを越える想像力>
7 (5月7日)「敵」と「味方」の社会科学
「敵」・「味方」という二分法は、社会科学的にはきわめて粗雑なものである。しかし、この乱暴な論理は、その「わかりやすさ」ゆえに、ときに強い浸透力をもってしまう。なぜこのようなことが起きてしまうのか。
【課題文献:インタビュー白倉伸一郎「仮面ライダーの敵」『朝日新聞』2013年4月12日ほか】

8 (5月10日)「敵」はどう作られるのか
 そもそも異なる人間が「つながる」ことは可能か。社会科学の基礎にはつねに「メディア」という問題がある。「敵」はつくられるものである。「敵」はどう描かれるのか。この点を、第二次大戦におけるアメリカと日本・アジアを事例に考える。では、いまの日本はどうだろうか。
【課題文献:ジョン・W・ダワー『容赦なき戦争――太平洋戦争における人種差別』部分】
【映像資料(アジア系女性はハリウッド映画でどう描かれてきたのか) “Slaying the Dragon” (Deborah Gee, 1988)(=YouTube紹介版: https://www.youtube.com/watch?v=N3Ka_xIPsHE、続編"Slaying the Dragon Reloaded: Asian Women in Hollywood and Beyond"(YouTube紹介版:  https://www.youtube.com/watch?v=tFP5oH0aZlE)】

9 (5月14日)「敵」との和解は可能か
人間がつくったものは、人間が壊すことができる。では、「敵」と和解することは可能か。感情と社会構造をともに視野に収めることが、社会科学には求められる。
【グループ報告・希望者】
【第2回中間レポート提出締め切り 5月14日予定】

パート4 <未来の世代のために今を変えることを可能にするために - 社会科学と「時間」の問題>
10 (5月17日) 福島原発事故がもたらした課題を、「時間」という視点から考える 
東日本大震災、そして福島原発事故は、社会科学・自然科学の違いを越えて、「知のあり方」に多くの課題を突きつけた。福島原発事故は10万人を超える人々の故郷離散を招き、「廃炉」までには30年以上の時間が見込まれる。人々の間で異なる「時間」が流れていく現実をどうとらえるか。
【課題・参考映像あり】

11 (5月21日)  社会科学は「時間」をどのように理解してきたのか   
時間とは何か。「時間の比較社会学」を手がかりとしながら、近代の「時間」観の成り立ちと変容を再考する。人は「時間」を飼い慣らすことに成功したのか。それとも・・・。
【課題文献:真木悠介『時間の比較社会学』部分】

12 (5月24日) 異なる「時間」を共存させるために
人はみな異なる「時間」を生きている。異なる「時間」の存在を認め合うことは、社会の成立を可能にする第一歩でもある。世代間格差、「スロー」の思想と「加速・スピード」の圧力、・・・。時間という観点から社会の成り立ちを考える。はたして合意は形成できるのか。
【グループ報告・希望者:】
 
<社会科学の「魅力」を知る>
13 (5月28日) まとめ――「知」の大きな器をつくるために
社会科学は何を問題にしようとしてきたのか。近代以降の社会科学的「知」の系譜図を参照しながら、改めて基本的な課題を整理し、理解を深める。
【最終レポート提出締め切り】

【テキスト・文献】

講義中で読む文献を指定(配布ないしmanaba上で提供)。

【キーワード】

 

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