日本語
3年生以上
今日、日本のヘルスケアシステム(人々の健康を支援する社会システム)は、世紀単位の大きな転換点に差し掛かっている。それは、従来におけるような治療医学に主導された体系から、当事者の健康的な暮らしや人生を支援する体系へと移行しようとしていることを意味する。本講義では、このヘルスケアの変化の意義について分析する。
その際、本講義では、公衆衛生、医療、患者の支援(福祉)のそれぞれの歴史・現状について、社会政策学・歴史学・社会学・経済学など各種のディシプリンを横断しつつ検討する。また講義の中で実践家による特別講義も行う。
本講義で主に取り扱うテーマは以下のとおりである。
1)医療・福祉・公衆衛生の位相
2)生活の質とはなにか
3)医師・看護師・病院
4)治療医学の世紀としての20世紀:病院の世紀
5)医療の社会化:社会は医療に何を求めてきたのか
6)病院と病床の戦後史
7)近代精神医療史
8)薬業史
9)ヘルスケアの現状と展望(1)
10)実践家による特別講義(1)
11)ヘルスケアの現状と展望(2)
12)実践家による特別講義(2)
13)ヘルスケアの現状と展望(3)
14)総括
本講義に参加するにあたって、必ずしもヘルスケアに関する事前の知識を必要としてはいないが、本講義のテーマが先端的なものであるということには留意されたい。すなわち、すでに確立された知識の教授ではなく、学術的・政策的知識を生み出す現場を紹介することを意味している。したがって、整理された教科書的知識を学びたい学生には不向きである。
講義の中で適宜指示する。
国家・市民社会・公共性、人権、福祉・ケア