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2009年度第3回コロキアム 報告書

最終変更日時 2009年08月18日 14時34分

社会科学研究における留学 ――修士および博士課程における長期的研究戦略――

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1. 概要

(1) 日時:2009年7月23日(木)11:30〜13:00
(2) 場所:第2講義棟308教室
(3) 参加人数:15名(うちアンケート回答者10名)
(4) 告知方法:ポスター掲示,院生・教員一斉メール
(5) 報告者

  • 浦田三紗子氏(文化人類学,ジェンダー論,韓国研究).2007年9月〜2008年8月に梨花女子大學校一般大學院女性学科に留学.
  • 小野塚和人氏(政治社会学,オーストラリア研究).2008年8月〜2009年3月までオーストラリア国立大学アジア太平洋地域研究科に客員研究員として留学.
  • 岡田 彩氏(開発教育,NGO論).2006年よりピッツバーグ大学公共国際問題大学院に留学.現在は同大学院博士課程に在学中.

(6) スタッフ

  • 企画と司会進行:佐藤
  • 進行補助:荒木淳子先生
  • 設営:福島賢二氏・梶村泰久氏(RA),佐藤

2. 目的

  • 留学の「入口」について,語学学習,留学先・志望指導教員の選定,奨学金の獲得における研究と実務経験の役割などを中心に理解する.
  • 留学の「中身」について,留学中の研究や調査活動および生活の面から理解する.
  • 留学の「出口」について,各報告者の今後の方向性などをもとに考察を深める.


3. 期待される成果

  • 語学習得に関する実際的な情報を得ることができる.
  • 体験談をもとに,如水会,国内の財団,留学先の大学や財団から奨学金を獲得するためのノウハウを得ることができる.
  • 修士課程での短期留学の方法,目的,方法について考察を深めることができる.
  • 博士課程における学位取得のための留学が果たす役割を,研究および実務経験の面から理解することができる.

4. 内容

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5. コロキアムの要約

本コロキアムでは,留学を院生の長期的な自己研鑽の機会としてとらえ,その過程(入口,中身,出口)においてどのような戦略が必要となるのかに焦点をあてた.今回も「先輩懇談会」のかたちを採用し,留学を経験した,あるいは現在留学中の社会学研究科の3名の院生に各自の経験を共有していただいた.

本コロキアムは3名の報告者から,各自の留学経験にもとづき詳細な情報や経験が共有された.各報告とも留学における入口,中身,出口に焦点をあて,それぞれの局面における活動や困難などを克明に伝えるような内容であった.具体的には,留学の「入口」として,語学学習の方法,受入先機関や希望指導教員の発掘,奨学金の獲得方法についてお話しいただいたが,奨学金支給財団や渡航先の国の大学によってこうした活動に大きな違いがあることが分かった.また,留学の「中身」については,本学の派遣留学生として韓国で女性運動を研究した浦田氏,オーストラリア政府の助成により「客員研究員」として研究・調査を行った小野塚氏,フルブライト奨学生(修士課程)およびピッツバーグ大学奨学金(博士課程)を取得し現地での修士号・博士号取得をめざした岡田氏とのあいだには,調査研究の中身や方向性にそれぞれ独自性があることが分かった.とりわけ,派遣留学生としての留学には現地の教育や研究に直に触れられるというメリット,客員研究員としての留学は研究室が提供されるなどのインフラ面でのメリットや,独立した調査研究を展開できるといったメリット,そして米国での留学については奨学金獲得の機会が多いことや,インターンシップや学会報告等をつうじた自己アピール能力の研鑽などのメリットがあることが各報告を通じて明確になった.

(※各報告の詳細については,本プログラムの「学内向けページ」をご参照ください.)


6. アンケート回答者



7. 満足度および参加者からの声

本コロキアムでは,すべての参加者が内容に満足したようである.今回は参加者が少数であったがゆえに,活発な質疑応答が行われた.


以下は,アンケートの回答者からの声である

【満足した理由】

  • 留学について,研究だけでなく,生活に関する情報などもあり,具体的なイメージが少しつかめた.また,留学する前の準備,留学中の研究情報など「生」の声を聞くことができて非常に有意義でした.
  • 学部生なので,院生の,しかも留学経験を聞くことができたのは貴重な時間になりました.
  • 留学についてまった知識がなかったので,奨学金の獲得方法,留学準備や現地での生活を具体的に説明していただいたので,とても参考になりました.
  • 個別具体的な話が聞けてよかった.留学先の苦労話などがもう少し聞きたかったようにも思います.ネットの活用法が聞けてよかった.
  • 応募についての実際のプロセスをいかに自分の研究に生かすことができるかというポジティブな話を伺えたこと.海外で求められる研究計画と日本で求められるものの違いがつかめた.


【コロキアムで学んだことについて】

  • 事前準備の必要性を非常に感じたので,語学留学の情報などを早め早めに取り組んでいきたいと思いました.
  • 留学経験の多様性,研究のための留学のあり方について,具体的なイメージができました.今後の進路(留学,院進学など)に活かしていきたいと思います.
  • やはり留学に際しては相当の準備が必要と改めて実感しました.10年後までのヴィジョンを持って研究計画を立てていきたいと思いました.
  • 奨学金の獲得スキルが研究資金獲得のスキルにつながることは,非常に参考になりました.
  • 自分も留学を視野に入れて研究計画を立てられるようになった.
  • 留学先で修士課程に進学するか博士課程に進学するか迷っていたが,その点についてアドバイスを受けることができた.博士課程に進学しようと思う.
  • 研究のプロポーザルを作成するうえで,その過程を大切にしながら応募書類の作成を有意義な機会としていきたい.


【今後のコロキアムの要望,その他】

  • いろいろな国の情報を知りたいので,他の欧州の国などで留学した人の話を聞いてみたい.
  • 学部生ですが非常に学ぶところが多く,参考になりました.私はゼミ内でのメーリングリストで本日のイベントを知ったのですが,本日のようなイベントはなかなかないものだと思うので,もう少し掲示などがあればよりよいのでは,と思いました.
  • 授業時間と重なっていたので,最後まで十分に聞けなかったのが少し残念でした.
  • いろいろな立場の人の話が聞けたことで,とても参考になった.
  • 今回のような人数であれば,もっと狭い部屋を利用するというのもありなのではないかと思いました.


8. 今後の課題

  • 開催場所について.今後のコロキアムも参加者が少数であることが予想されるため,マーキュリータワー4階または5階の小規模の教室を利用することも考えられる.
  • コロキアムのテーマにもよるが,今後はより広く学部生の参加を募り,大学院での研究について鼓舞していく必要があると思われる.