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2009年度第6回コロキアム報告書

最終変更日時 2010年03月25日 19時27分

学振特別研究員志望者のための研究計画書作成講座

1. 概要
(1) 日時:2010年1月27日(水)10:00?12:40
(2) 場所:MT 7階マーキュリーホール
(3) 参加人数:のべ18名
(4) 告知方法:ポスター掲示、院生・教員一斉メール、各共同研究室ML、ゼミでの案内状の配布
(5) 報告者(報告順)

加賀谷真梨氏(文化人類学、ジェンダー論)

鵜飼健史氏(政治思想史)

惠羅さとみ氏(国際社会学、労働社会学)

(6) スタッフ

企画と司会進行:佐藤

設営補助:RA

2. 目的
日本学術振興会(学振)特別研究員の報告をつうじて,学振PDの応募書類作成に必要となる以下の項目の理解を深めること.

【計画書作成の準備(入口)】
(1) 受入先研究者との関係構築
(2) 助成金獲得と自らの研究(博論等)とのバランス
(3) 研究計画書作成にあたって受けた指導

【計画書作成の実践(中身)】
(4) 「過去の」研究と「採用後の」研究の連続性
(5) 理論と実証の接合
(6) PD研究の「出口」をどう表現するか


3. 内容

報告者(敬称略)と報告題目、および内容

第一部

佐藤 裕「導入セッション」

1報告

加賀谷真梨「研究計画書作成のプロセス」

2報告

鵜飼健史「人文社会系研究における競争的資金獲得の波」

3報告

惠羅さとみ「学振PD研究計画書作成にあたって」

第二部

質疑応答およびグループ討議

4. コロキアムの要約
本コロキアムでは、異なる研究分野から3名の日本学術振興会(以下、学振)特別研究員を報告者として招聘した。第一部では、報告者が学振向けの研究計画書の作成方法について各自の経験にもとづき報告した。各報告では、それぞれの専門領域の見地から、研究計画書作成の準備段階や作成段階において必要な事項が説明された。いずれの報告も、各報告者の過去の助成金の申請経験の勝因・敗因分析にもとづくものであった。そこで強調された点は、研究業績の蓄積はさることながら、研究計画書作成にあたって留意すべき点やアピールの仕方であった。アピールの仕方については、報告者の専門によって多少違いは認められたものの、おおむねつぎの点に力点が置かれた。(1)「過去の」研究と「採用後の」研究との連続性をいかにストーリーとして再構成するか、(2)理論と実証(あるいは方法論)との接合をどう表現するか、(3)研究や調査の実施可能性、(4)今後の研究の学術的・社会的貢献をどう位置づけるかである。
第二部では、参加者から質疑応答がなされ、その後には報告者および当日ボランティアで参加した学振特別研究員(含む内定者)3名をまじえてグループ討議がなされた。

5. アンケート回答者の属性
今回の参加者は計18名、うちアンケート回答者は13名であった。以下はその内訳である。


表1:専攻別構成

専攻

人数

総合

9

地球

2

不明

2

合計

13

表2:学年別構成

学年

人数

M1

2

M2

3

M3

1

D2

2

D3

2

OD

3

合計

13

表3:男女別構成

性別

人数

9

4

合計

13

当コロキアムに対する満足度はきわめて高く、回答者13名のうち12名が「満足」、1名が「やや満足」と答えた。満足度に対する理由としては、以下が代表的であるが、いずれも研究計画書の作成方法に関する情報に対して、多くの院生のあいだで需要が多いことを示すものである。

「FW系だけでなく、人文系の書き方を知ることができた。採用統計、研究計画書フォーマット、受入機関など付帯状況についての知識・見解がとても役立った。(ウェブでは知ることができなかった)」
「本年度DC1に落ち、その理由を考えていたところに、自分の欠けていた点に気づく参考になった。」

また、参加者たちからは、本コロキアムを通じて研究計画書作成におけるストーリー構成の重要性や、過去の研究と今後の研究との接合をいかに表現するかについて学ぶことができた点などが評価された。以下は参加者の声の一部である。

「人文系はmethodではなくmethodologyを示せ、という鵜飼氏のテキストへの向かい方、「戦略的な読み方」をとりまく研究ストーリーを審査員にしっかり提示する、というのは、今後ベースとなる考え方になりそうです。」
「過去の研究との連続性と不連続性のバランスや、研究計画の作成などたいへん勉強になりましたので、今後応募に生かしたいと思います。討論も時間もあったので、聞きたいことは充分聞くことができました。」

6. 今後の課題
本コロキアムへの参加者は、昨年度の同時期に開催された同一テーマのコロキアムよりも少なかった。水曜日に代わり、他の曜日に開催することも検討する必要があるように思われる。

以上